「ジーンくん、……だったかしら?」
「ええ」
ステラはジーンの真剣な眼差しサプリメント マカに苦笑を返す。
「酷い誤解だわ。わたしはただ、この子を助けたいだけなのゴーヤ」
「そのために、それはいけないことだと諭す自らの妹に手をかけると? ステラさん、貴方は……」
ジーンは醜いものでも見るように顔を歪めた。
「狂っている」
「酷いわ、ジーンくん」
スマカ サプリテラはその強い言葉に傷ついたように目を伏せる。
「この間会った時は褒めてくれたじゃない。とても可愛いって、綺麗だって」
思わずミモザが白けた目でジーンを見上げると、彼は誤魔化すようにごほんごほんと大げさに咳をした。
「あ、あの時はそう思ったんです。ですが、貴方の行動は度が過ぎている」
そう言って強く否定するように首を横に振る。
「物事には限度がある。貴方はもう少し自分マカのことを客観的にかえりみるべきだ」
「……貴方は、ミモザの味方なのかしら」
ぽつりとステラはこぼした。その口調はひどく寂しげで、そしてとても禍々しい。
「どちらの味方とか、そういう問題ではありませんよ」
呆れたようにジーンはため息をついた。
「どちらの意見に正当性があるか、これはそういう話です」
「王都に来てから……、なんだかおかしいわ」
ジーンの言葉が聞こえていないかのように、ぽつりぽつりとステラはこぼす。
「村ではみんなわたしの意見を聞いてくれた。わたしは優秀だって、優しいって、正しいって言ってくれたのに」
ステラの表情は変わらない。クロム涼しい表情のまま、唇にはわずかに笑みすら浮かんでいるというのに、その瞳だけがぽっかりと穴が空いたかのように薄暗かった。
「貴方はわたしよりもミモザが好きなの?」
「………。どちらが好きかで言ったら、まぁ、貴方のことは好ましくありませんね」
ステラの瞳孔がショックを受けたように収縮する。そして一度ゆっくりと瞬きをした。
「邪魔をしないで」
「したくてしてるわけじゃないんですけど、ねっ」
ステラから氷の破片が放たれたのを、ジーンは土壁を作ることで受け止めた。そのままその土壁は蛇のようにぐんっとうねると、一気に伸びてステラへと突進する。ステラはそれを避けたが、土壁はどこまでも追跡を続けた。
「……くっ」
ステラは氷の破片を放って土壁を凍らポリ ペプチドせることでその動きを止める。しかしその時にはもう、ジーンはステラの逃げるルートを読んで土壁と挟み込むようにその背後へと回り込んでいた。
「……っ」
切り付けられた刃をステラはなんとかレイピアで受け止めたがその切先は耳障りな音を立てて滑り、ステラの頬を掠める。
彼女の血が宙を舞った。
(すごい)
ジーンのことである。魔力が多いことは知っていた。しかしあれだけの量の土を動かし、なおかつそのスピードもコントロールも落とさないというのはかなりの熟練の技だ。事実ステラもミモザも攻撃は直線的で、相手を追尾するなど困難である。
それに剣術においてもジーンに一日の長があるのだろう。そもそもステラの武器であるレイピアは斬り合いをするようには出来ていない。接近を許し切り結んでしまった時点でステラは圧倒的に不利である。
「もうやめませんか。今ならばまだ貴方の行為は未遂だ。貴方が大人しく手を引くというのならアントシアニンの効果、僕は何もしませんよ」
「わたしが悪いことをしているみたいに言うのをやめて……っ!!」
ステラが激情したように叫ぶ。その強さにジーンは呆気に取られたように動きを止めた。
その隙を突いてステラが氷の破片を生成する。
「危ないっ!!」
ミモザは素早く駆けるとジーンに飛びついた。
「ぐぅ……っ!」
氷の破片が、すんでのところで飛び込んだミモザの足を貫く。そのまま2人はごろごろと地面を転がった。
「ミモザさん!」
「………っ」
地面には2人が転がった軌道をなぞるようにそれなりの量の血が広がった。それに気づいたジーンが声を上げるが、ミモザはすぐに起き上がると油断なくメイスを構える。ジーンもその視線を追うようにして彼女のことを見た。
彼女ーー、ステラのことを。
ステラは無言で佇んでいた。いつもは華やかな笑みを浮かべる口元は無感情に閉じられ、明るい輝きを宿す瞳は昏くよどんでいた。彼女はレイピアをひたりとミモザへと向ける。
「わたしの邪魔をしないで」
ぞくり、と身を震わせる。ミモザは自分の死を覚悟した。
「もうやめて!」
唐突に、悲鳴のような声がその空気を引き裂いた。
その声にステラが夢からポリ ペプチド覚めたように顔をあげる。振り返った視線の先では、少女が頭を抱えるようにしてうずくまり、泣きじゃくっていた。
「もう、やめて。ごめんなさい、ごめんなさい、わたしが悪かったです、ごめんなさい」
嗚咽を漏らしながら、彼女は言葉を紡ぐ。
「こんなことになるなんて思わなかったの、こんな、怪我する人が出るほどのことだなんて……」
「貴方は気にしなくて良いのよ?」
ステラがゆっくりと彼女に近づく。少女はそれに怯えたように身を引くと、拒絶するように首を振った。
「ごめんなさい! わたしが間違ってました。ごめんなさい、ごめんなさい……っ」
「君たち、一体何をしているんだい?」
その時落ち着いた男性の声が響いた。見上げるとそこには教会騎士団の制服を着た若い男性が立っていた。彼は訝しげに身を震わせて謝罪を繰り返す少女と血を流すミモザ、それを支えるようにするジーン、そして立ち尽くすステラを見る。
周囲を見渡すと塔に入るために行列を作っていた人々が伺うようにこちらを見ていた。
(そりゃそうだ……)
いかに距離を取った場所でのやりとりだったとはいえ、あれだけ派手にやり合えば人目につくに決まっている。心配した人々が騎士に報告したのだろう。
「とりあえず……、そっちの子は手当をしようか。あと全員話を聞かせてもらうから、詰め所まで来てもらうよ」
彼は冷静にそう告げた。
。クロムサプリメント マカゴーヤマカ サプリ
分類: 未分類
さて、昨日に引きマカ サプリ
さて、昨日に引き続きミモザは塔の攻略に来ていた。第3の塔サプリメント マカくらい亜鉛 の サプリまでは塔の中に野良精霊も出現せずレベルが低くても比較的さくさく攻略できるため、皆あまり間を開けずに攻略するのが主流である。ミモザもそれに倣うことにした。
次のターゲットである第2の塔は暗視ができるようになる祝福の塔である。ゴーヤこの塔でやることは第1の塔とあまり変わらず、鍵を探すのは一緒である。しかし暗闇の中で、である。自分の指先も見えないような暗闇を進み、その最中で鍵を見つけるという試練だ。当然この鍵にも金銀銅のランクが存在するが、今回は視認して選ぶことなどできないため、暗闇の中でどれだけたくさんの鍵を見つけられるかが勝負となる。
かくして、ミモザは今アントシアニンの効果、
(気まずすぎる……)
何故かステラとアベルと共に塔の入り口で入場確認を受けていた。
理由は簡単だ。塔の前で偶然鉢合わせてしまったのである。
先に来て入場の列に並んでいたのはミモザであった。そこに後から2人が来て、知らないふりをしてくれるかと思ったら「あら、ミモザ」とステラが声をかけてきたのだ。
(帰りてぇ……)
「ねぇミモザ、聞いてる?」
それから延々とステラに話しかけられ続けているミモザである。その態度に段々と昨日あったと思っていた出来事はもしかしたらゴーヤ夢だったのだろうかと疑い始めていた。
まぁさっきからチロがイライラとミモザの肩で地団駄を踏んでいるのでおそらく現実にあったのだろうが。
「お姉ちゃんって気まずいって感情知ってる?」
「……? もちろん、知ってるわよ?」
なら話しかけてくんなよ、とは言えない小心者のミモザである。
ちろり、とその隣でやはり気まずそうに貧乏ゆすりをしているアベルを見る。彼と目が合った。
「………やめさせたから」
「は?」
アベルはちっ、と舌打ちを一つすると、周囲をはばかるように小声で告げた。
「昨日の。野良精霊狩りだよ」
「……ああ」
そうですか、とミモザは頷く。もはやミモザには関係のない話だ。
(でもそっか、辞めさせられたのか)
それは素直にマカ賞賛に値する。ミモザが諦めてしまったことを、アベルはやり遂げたのか。
だからと言ってアベルのことを許すつもりは毛頭ないが、憂いが一つなくなったことは確かである。
「ついでにここから連れ出すか僕に話しかけないようにしてくれない?」
「それはまぁ、俺には荷が重い」
ミモザはちっと舌打ちをした。
いまいち使えない男である。
無事に入場許可をもらい塔の中に入る。とたんにミモザの体は一寸先も見通せないような暗闇へと呑み込まれた。
試しに手を伸ばして目の前にかざして見るが、その輪郭はおろか、動かしてみても存在すら感じられない。
手をそろりそろりと横へと伸ばす。何かごつごつとした岩肌のようなものにその手は触れた。どうやら壁らしい。
背後で扉の開く音がし、一瞬光が差し込んだ。だがその眩しさに目が眩んでいる間に再び闇に包まれる。
後ろに並んでいた人物、おそらくステラかアベルが入ってきたのだろう。ミモザは2人に追いつかれないように慌てて壁伝いに前へと歩き出した。
亜鉛 サプリ おすすめ誰かの足音がまばらに聞こえる。息づかいやひそめられた悲鳴も。誰かが近くで転んだ音がした。人の存在を感じるのに何も見えないというのはとても不気味な状態だ。
その時ミモザの左側を誰かが通り過ぎた。足音の遠ざかっていく方向とその素早い歩行からして試練を終えて帰っていく人かも知れない。祝福により暗視の能力を手に入れたのだろう。
(鍵を探さなきゃ)
暗闇の中進むことに夢中になって、すっかり忘れるところだった。
しかし探すといってもこれでは進むだけで精一杯だ。ふと思いついて足をずりずりとするように動かす。その時こつん、と何かが当たった。屈んでそれに触る。
(ただの石ころか)
そのまましばらく手で地面を弄っていると思いっきり誰かに手を踏まれた。
「いった!」
「おっと、すまねぇ」
見知らぬ誰かはそれだけ言うとまた歩き始めたようだ。徐々にその足音は遠ざかっていく。
屈んでいるのは危険だと判断してミモザは地面を探すことを諦めて立ち上がる。先ほどまでたどっていた壁に再び手をつくと、その壁を手当たり次第に撫で回した。
(……お?)
しばらくするとくぼみのようなものに触れた。その中アントシアニンの効果に手を突っ込む。何か硬くて小さな物がある。それを握って引っ張り出して見るが、まぁ、見えない。
(そりゃそうだ)
とりあえずすべすべとした冷たい手触りは金属っぽい。形も鍵の形をしている気がする。判別は諦めてとりあえずミモザはその鍵らしきものを持ってきていた巾着袋の中へと放り込んだ。
(これは長丁場になるなぁ……)
どこまで進めばゴールなのかもわからない。しかもミモザの記憶が正しければこの塔の内部は基本一本道ではあるものの、ちょこちょこすぐ行き止まりになる分かれ道があったはずだ。
(まぁ、いい)
なにせミモザは誰もがすぐに攻略する第1の塔におよそ7時間も居座ったという華々しい実績の持ち主である。長期戦はいろいろな意味で得意だ。
「がんばるぞー、おー」
「チー」
小さな声でチロと一緒に気合いを入れるとミモザはまたそろりそろりと歩き出した。
扉が開く。
「ううっ」
眩しさにミモザはうめく。どうやら最上階にやっとたどり着いたらしい。
その部屋にはミモザと同じように暗闇を歩いてきた人達が複数人立っていた。鍵を挿す扉の前には行列ができている。
どうやら第一の塔はすぐに終わってしまう試練のため塔の中にいる人もまばらだったが、暗闇を進むという時間のかかる試練ゆえに渋滞が発生しているらしい。暗闇の中でも確かに見えはしないが亜鉛 サプリたくさんの人間の気配を感じていた。
「さてさて」
ミモザは手に握っていた袋を見る。小さな巾着袋はぱんぱんに膨らんでいる。
豊作である。
(なかなかに頑張ったんじゃなかろうか)
人が多かったためあまり一ヶ所に長居は出来なかったが、そのわりにはなかなかの数の鍵を見つけられた。
(もしかして金の鍵もあったりして)
宝くじの当選番号を確認する気分でにまにまと笑いながらミモザは袋を開けて中を見た。
閉じた。
もう一度中を見た。
銅の鍵しか入っていなかった。
「……………」
ミモザは無言でのろのろと歩くと広い部屋の隅の方へと移動してそこに座り込んだ。
「いいんだ、わかってたから。僕なんてどーせ、どーせ」
そのまま体育座りになり地面にのの字を書く。
「えーと、大丈夫か?」
その時聞いたことのある声が話しかけてきた。その不愉快な声にミモザはきっ、と睨みを効かせる。
「他の誰に言われてもいいけどお前からだけはそんなセリフは言われたくないっ!!」
声の主はアベルだった。彼は手に銀の鍵を握っている。
「わ、わりぃ」
「謝るなぁ!余計惨めになる!うわーん!!」
「あらら、ミモザ、可哀想に。だめよ、無理をしちゃ」
そう言って歩み寄ってきたステラの手には金の鍵が握られていた。
ミモザはさらに泣いた。
ステラはミモザの握る袋を引っ張って中を確認する。その中身が銅の鍵しかないことを見て取ると少し笑った。その後思案するように指を口元にあてる。
「でも困ったわねぇ、銅の鍵じゃあ暗闇の中あの道を戻るのは大変だわ。そうだ、手を繋いであクロムの効能げる。私たちと一緒に帰ろう?」
そう言ってにっこりと差し出された手を
「や、やだ」
ミモザは拒絶した。
頼むから放っておいて欲しかった。
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それはチャアントシアニンの効果
それはチャイムが鳴って1時間目の授業が終わった時のことだった。次の授業の準備のクロムの効能ための短い休憩時間にがらりと音をたてて唐突に教室のドアが開いた。ゴーヤ
開けたのはミモザである。
ショートカットのハニーブロンドには天使の輪がかかり、憂鬱そうに伏せられた瞳は冬の湖面のように深い青色に澄んでいて美しかった。雪のように真っ白亜鉛 の サプリな肌は透き通っているが血の気が引いたような白さで、その外見の美しさも相まってまるでよくできた人形のようだ。これで服装がもっと華美であればますます人形のように見えたのだろうが、彼女はいつも暗い色のシンプルなシャツと半ズボン、そして黒いタイツといった少年のような格好をしていた。その容姿と服装の奇妙なアンバランスさは彼女に不思議な近寄りがたい雰囲気を与えていた亜鉛。
(戻ってきたのか)
アベルは意外な気持ちで彼女が静かに自身の席へと戻るのを眺めた。
変な言葉を叫んで飛び出していったから今日はもう家に帰るのかと思っていたのだ。しかし戻ってきたということはそうはできなかったのだろう。
(そりゃそうか)
普段より早く家に帰れば理由を聞かれるだろう。これまでミモザが親に一度も学校での出来事を話していないのは当然知っている。
(ステラにはチクったみたいだが…)
ち、と軽く舌打ちをする。幸いにもステラは素直でお人好しな少女だ。アベルが誤解だと誤魔化すとそれを信じたようだった。
ステラ。亜鉛 の サプリあの美しい少女を思い浮かべるとアベルは幸せな気持ちになる。双子なのに根暗で生意気なミモザとは似ても似つかない。
アベルだって最初からミモザを蔑ろにしていたわけではない。学校に通い始めた当初、近所に住んでいて元々仲の良かったステラに「妹のことをお願いね」と頼まれて最初のうちは仲良くやっていたのだ。
しかし入学してから初めて知り合ったステラの妹はどうにも生意気な奴だった。ステラの話題を出すと「僕じゃなくてステラと話しなよ」と突き放すようなことを言い、春の感謝祭で一緒にダンスを踊りたいからステラを誘ってほしいと頼んでも「自分で誘いなよ。僕は関係ないよね」とケチなことを言う。
出来ないから頼んでいるというのにだ。
ステラは人気だ。ミモザと違い明るく誰に対しても分け隔てなく優しいステラ亜鉛 の サプリはみんなに好かれていた。「お前も同じようにしろよ」と忠告をしたこともあったがミモザはその言葉に嫌そうに顔をしかめるだけだった。「せっかく仲良くしてやってるのに!」と言うと「別に頼んでない」などと恩知らずなことを言うので仲良くするのをやめたのだ。
アベルは近くで喋っていた特に仲のいい3人を目線で呼ぶと、連れ立って席を立った。目指すのはミモザの席だ。
「おい」
次の授業の準備をしているのか机の引き出しをいじっているミモザの顔を上げさせるために机を軽く蹴りつける。彼女はわずかに身を震わせるとうかがうようにこちらを見上げた。
その怯えた態度に自尊心が満たされる。
自分の肩にとまった相棒の鷲の守護精霊も喜ぶように翼を一度広げてみせた。
「よう。どこいってたんだ?」
にやにやと笑って問いかけるとミモザは怯えたようにこちらを見て、しかしすぐに無言のまま視線を逸らした。その手は再び準備のために筆記用具や教科書を机の上に並べ始める。
dha epa dha無視だ。
その事実に苛立って改めて机をがんっと少し強めに蹴り上げる。
彼女は助けを求めるようにわずかに視線を彷徨わせたが教室にいる誰も彼女と目を合わせようとしなかった。
担任の教師もだ。
まだ新任の若い男教師は周囲からの評価を気にしてアベル達のこの行為を容認していた。クラスの他の生徒達もだ。アベルはこの学校の生徒達の中で誰よりも立場が高い。
アベルには腹違いの兄がいる。その兄はこの国で最強の精霊騎士に与えられる称号である聖騎士を賜るレオンハルトである。
残念ながら母親が違うため同じ家で育ってはいないが、レオンハルトはいつもアベルのことを気にかけてくれて忙しい仕事の隙間を縫ってはアベルに会いに来てくれていた。この田舎の村ではそれは間違いなくステータスであり、アベルは同年代の子どもの中では尊敬を集めていた。
「助けなんてこねぇよ」
ふん、と鼻で笑ってやる。このクラスはアベルの小さな王国だった。
「それよりお前、ステラにちくったろ」
ミモザが顔をしかめる。その様子に気をよくしつつ、アベルはばんっ、と勢いよく机に手を振り下ろす。
その音にミモザの肩が揺れた。
「ちクロムゃんとイジメなんかしてねぇって伝えといたからな。お前がどうしようもないバカで間抜けだから手伝ってやってるだけだって。もしかしたらイライラしてきつくなったことはあったかも知れねぇって言ったら納得してたよ。お前も帰ったらバカなこと言わねぇで自分が悪かったんだって言えよ!」
ふん、と鼻息荒く告げる。
(これでいいだろう)
臆病なミモザのことだ。これだけ脅してやればもう逆らおうという気など起きないに違いないと、アベルは満足して身を翻そうとして、
「馬鹿じゃないの」という小さな声に動きを止めた。
「なんだと?」
声の主はミモザだ。彼女は身を震わせながらもゆっくりと顔をあげた。
その目は強くはっきりとした交戦の意思を宿している。
「どこの世界にいじめられるのを自分のせいだと家族に言う奴がいるの。僕がいじめられてるのはお前達加害者のせいであって僕は何一つ悪くない」
頭にカッと血が上る。逆らえるはずのない相手からの反抗がアベルには許せなかった。
「……いっ!」
「てめぇ!調子に乗りやがって!!」
強い力でミモザの髪を引っ張る。ちょうど机を挟んで対峙していたためミモザは机の上に乗り上げるような形になった。彼女の髪がぶちぶちと音をたてて引きちぎられる。
言葉もなくうめくミモザにアベルは笑う。どんなに言葉で賢しいことを言おうとこんなものアントシアニンの効果だ。結局ミモザはアベルに敵わないのだ。
そろそろ休憩時間が終わりそうだ。許してやるかと髪から手を離そうとした瞬間ーーミモザと目が合った。
苦痛に歪んだ顔でけれどその口元がわずかに笑みの形に歪む。
「なん……っ」
だ、と言いきる時間はなかった。
そのままミモザは勢いよく机を掴むと乗り上げた身体ごとアベルのいる方へと机をひっくり返す。
ぎょっとしてアベルは手を離して後退った。
派手な音が響いて机とともにミモザが床へと倒れ伏す。
床の上へはあらゆるものが散乱していた。ミモザへの悪口で埋まる真っ赤な紙、ガラスの破片、無数の刃物、引きちぎられた金糸の髪、そしてその上へ倒れ込んだせいで傷ついたミモザの血痕。
その上に大の字で寝そべる彼女は美しく、凄絶に笑った。
「誰か助けて!!」
そのまま大声で叫ぶ。
ぎょっとしたように教室の中の空気は止まり誰も動けない中で
「一体何事だ!?」
隣のクラスの担任教師が慌ててかけつけてドアを開いた。
彼はそこに広がる光景を見て数秒絶句し、けれど数秒だけだった。
すぐに彼の怒号が響いた。
。マカ と はゴーヤ チャンプルーアントシアニンの効果dha epa
晴れて不マカ サプリ
晴れて不登校児となったミモザの朝はーー遅い。
太陽がほぼ亜鉛の効果頂点付近へと昇った昼頃にごそごそと起き出し、まずはクロムの効能姉がもう学校に行って家にいないことを確認することから一日が始まる。
不登校生活の恩恵はいじめがなくなったことだけではなく、生活サイクルがずれたことにより姉と顔を合わす機会が減ったということももたらマカしてくれていた。
母も仕事に出かけており不在のため、一人でのんびりと遅い朝食をとる。母も忙しいためご飯の準備はしなくてもいいと伝えてあり、毎朝パンを軽くトースターで焼いて食べていた。
鼻歌を歌いながらパンをできる限り薄く切り、トースターにセットする。
「……?」
スイッチを押しても動かないことに首を傾げトースターをためすがめす眺めていると、魔導石が黒くなっていることに気がついマカ サプリた。
「あー……」
うめきながらリビングへと戻り、棚から白い魔導石を取り出すとトースターの中の黒いものと交換する。問題なくトースターが動き始めたことを確認してからミモザは黒くなった魔導石を魔導石用のゴミ箱へと捨てた。
魔導石というのはこの世界における電池のようなもので、これによりすべての機械は動いている。色は透明なほど純度が高く、内に含むエネルギー量も一度に出力できるエネルギー量も多いらしいが、まぁ一般家庭にある魔導石など白く濁ったものが普通である。エネルギーが切れると黒くなるため黒くなったら取り替え時だ。
(……電池?)
マカ サプリ ふと疑問を覚える。それはこの世界にはない概念だ。
前世の記憶を思い出した時は色々と朧げでゲームのことしかわからないと思っていたが、どうやらエピソードが欠落しているだけで知識は覚えているようだ。無意識に変な言葉を口走らないように気をつけなければ、とミモザは脳内に注意事項としてメモをした。
そうこうしている間にチン、と軽い音と共に焼き上がったトーストを手にテーブルへと向かい、これまた薄くキイチゴのジャムを塗る。
ちなみにミモザ達に父はいない。いわゆる母子家庭である。ゲーム内では特に父親の存在に言及していなかったが、ミモザ達がまだ5歳くらいの時に亡くなったようだ。
そのためそこそこに貧乏な家庭である。それでも一般家庭マカとあまり変わらぬ水準で生活できている理由はここが田舎の村であり、食べ物は家庭菜園や森からの採取、近所の方からのおすそ分けで賄えているからだろう。
食事の後は庭に出て家庭菜園の手入れをする。草をむしり水をやるとそれぞれの野菜の育ち具合を見てうむうむと満足げに頷き、食べられそうなものでめぼしいものを収穫していく。きゅうりとキャベツが食べ頃だったため昼食用に採取する。
(今日はキャベツとベーコンのパスタときゅうりの和物だな)
ふー、と満足げに額の汗をぬぐう。汗がきらりと陽の光に反射した。
学校に通わなくなったミモザの生活は実に充実していた。
「チゥー」
胸ポケットに入っていたチロが不満そうに『最強の精霊騎士はどうした?』と聞いてきた。
それにミモザはサムズアップで応える。
「大丈夫!ばっちり考えてあるから!」
「チー……」
本当かなぁ、とチロは不信げにつぶやいた。
部屋の窓は閉め切られていた。暗い色のカ亜鉛 サプリーテンがしっかりと外からの光を遮断し、室内は真っ暗で淀んだ空気がただよっている。
中央には蝋燭が3本ほど据えられ、そこを中心として不思議な図形を組み合わせた陣のようなものが描かれた布が敷かれている。
のっそりと部屋の隅の暗闇から、シーツをまるでローブのように身にまとった人物が現れた。
ミモザだ。
その手にも燭台が一つ握られており彼女の動きに合わせてゆらりゆらりと光の波紋が部屋中に広がっていった。
普段は白い肌は蝋燭の灯りで橙色に染まり、ハニーブロンドの髪がきらきらと光を放つ。伏せられたまつ毛にもその光が反射し、神秘的な煌めきをその身に纏っていた。
彼女は陣の縁へとひざまずくと手に持った燭台をゆっくりと掲げる。
そのまま緩慢な動作でその手を左右へと振った。
「はぁーー、我に力をーー」
そのまま低く作った声で唱え始める。
「力をーー与えたまえーー」
ぶんぶんと上半身を左右に揺する。その姿はまるで深海で揺れるチンアナゴだ。
チロはもはや呆れて何も言わず背後からそんな相棒の姿を眺めサプリメント マカるだけである。
止める人間のいないミモザはどんどんヒートアップしていく。
「はぁーー、我に力をーー…」
ぐるんぐるんと頭を揺らしながら調子に乗っていると、その時背後でかちゃり、と小さな音がした。
チロが振り返り目を見開く。
慌ててミモザへと駆け寄るとその足に齧り付いた。
「いたたたっ!もう何、チロ。今いいところ……」
言って振り返った先でーー、
真っ青な顔をしてドアの隙間からこちらを見ている母親の姿を見た。
真っ青な顔をしてミモザも固まる。
しばしその場に沈黙が落ちた。
先に動いたのは母、ミレイの方だった。彼女は手に持っていた荷物を取り落とすと両手で顔をおおった。
「ごめんね、ママ、ミモザは少しずつ元気になってきてると思ってたんだけどちょっと楽観的すぎたね」
「ち、違うよ、ママ!これはね!」
「無理しなくていいのよ、ミモザ。ママに相談しづらいようだったら他の人でも……、カウンセラーとかに行きたかったらママが探してあげるからね」
「違うんだって!これはおまじないなの!僕が強くなるためにね!お祈りをしてたの!」
「そう、おまじない……」
「そう!おまじない!」
二人はしばし無言で見つめ合った。
そしてミレイは何かを飲み込むように一つ頷くと、聖母のような微笑を浮かべた。ポリ ペプチド
「そうなのね、ミモザ。それが貴方に必要なことならママは受け入れるわ」
なんだかすごく誤解されている気がする。
しかしそれ以上なにも弁明する言葉が思いつかず、ミモザは「ありがとう、ママ」と冷や汗をかきながら言うのが精一杯だった。
。クロムクロムの効能亜鉛 サプリ
「省エネだな亜鉛 サプリ おすすめ
「省エネだな」
訓練の途中、レオンハルトはそdha epaうつぶやいた。
dha epa「え?」
「君の戦い方のことだ」
おそらく休憩に入るつもりなのだろう。構えていた剣を下ろし、彼は軽く汗を拭う。
「君の使う技はどれも形態変化だ。衝撃波についても俺は斬撃を形にして飛ばすのに対し、君は触れたものに衝撃ゴーヤ波を叩き込むスタイルだろう」
それを見てミモザはその場に座り込む。正直もうへとへとで立っているのがキツかったのだ。
そんなミモザを彼は見下ろした。
「君の攻撃はことごとく何も作り出さない」
「……はぁ」
ディスられているのだろうか、とも一瞬思ったが、声のトーンと態度からおそらく違うのだろう。彼の瞳に映dhaる感情は、感心だ。
「無から有を生み出すのと、すでにあるものを利用するの、どちらがよりエネルギーを消費するかなど言わなくてもわかるだろう?3時間ほど打ち合っているが、君の魔力はあまりにも減っていない」
「それはレオン様も……」
特に魔力切れを起こしている気配はない。MP量の見えないミモザではわからないが、まだまだ余裕そうに見える。そんなミモザを師匠はじっとりと睨んだ。
「俺はペース配分をしている。しかし君は何も考えず全力で打っているだろう」
「……うっ」
図星だ。ぐうの音もでない。
「…にも関わらず、MP量を見てもいつアントシアニンの効果までもゆとりがある。君の元々の魔力量はそこまで多いわけではないにも関わらず、だ」
当たり前のように金の祝福を授かっているレオンハルトである。
「つまり君の攻撃は使用するMP量が極端に少ない。おそらく1~2程度しか使っていないんじゃないか」
「……はぁ」
褒められているのはなんとなくわかるが、わからない。それはそれだけ一撃に威力がないということと同義ではないだろうか。
「つまり君は人よりも長く戦える。持久戦が君の強みだ。一撃で倒す威力はないが、じわじわと相手の体力と魔力を削って疲労したところでとどめを刺せ」
そこで悪巧みをするようにレオンハルトはにんまりと笑った。
「まぁ、君自身がへばらないように、それに耐えられるだけの体力と筋力をつけなくてはな」
*
「おdha epaかしい、なぜだ」
ロランはぜいぜいと肩で息をしながらぼやいた。
それを見て、ああ魔力と体力が尽きてきたのだな、とミモザは悟る。
「なぜ魔力が尽きない!小娘!!」
「……僕マッチョなんで、こう見えて体力が、」
「肉体の問題じゃない!魔力だ!こんなに長時間戦って、常人の魔力が持つはずがっ……!!」
うーん、とミモザはうなる。なんて言おうか考えて、結局シンプルに言った。
「僕、持久戦が得意なんです」
というより、それ以外得意なものがない。
ロランはこちらを睨んでいる。その足元のおぼつかなさを見て、ミモザはふふ、と笑った。
どうやら仕込んだ毒もうまく回ってきたようだ。
ミモザが唯一目覚めた属性攻撃、それは『毒』だった。
しかしそれは前述した通り強力なものではない。せいぜいが身体が少しだるくなる程度のものだ。それも4~5時間で治ってしまう。
(でも充分だ)
長期戦で相手を疲労させて戦うスタイルのミモザにとって、わずかでも亜鉛弱らせやすくするその属性は決定打にはならないが相性がいい。少しでも相手の判断能力や体力を下げられれば儲けものである。
ちなみに毒を仕込んだのは最初の一撃目。ロランの目元をかすった時である。ゲームのミモザは毒を空気中に放出していたが、その方法では明らかにMPを食うため棘から注入する方式へと訓練で切り替えていた。すべてミモザの長所を活かすためである。
「これから、貴方にはへとへとに疲弊していただきます」
ミモザは言う。
「何時間でも何日でも何週間でも何ヶ月でも、戦い続けられるように僕は修練をつんできました。貴方はここから逃げることもできず、勝つこともできない。疲れ果てたままここで戦い続け、そして…」
ミモザの仕事はここまでだ。仕込みは上々、舞台は整えた。
ここで敵を倒すべきはミモザではない。のちのちの事後対応を考えれば、彼を倒すのはわかりやすい皆の『英雄』であるべきだ。
「最後は、聖騎士レオンハルト様に倒されるのです」
その時ロランの背後に人影が現れた。ロランがギョッとしたように飛び退く。
「待亜鉛 の サプリたせたな、ミモザ。状況は?」
そこには英雄の姿があった。
豊かに流れる藍色の髪に意志の強い黄金の瞳、そして堂々たる体躯の英雄の姿が。
ミモザはうやうやしく頭を下げる。
「彼が保護研究会の一員で、被害者遺族の会の方々を殺そうと企んでいたようです」
「……そうか。どうやら俺の可愛い弟子にしてやられたようだな、ご老人」
槍を構える老人の異様に疲れた様子を見て、レオンハルトは悪辣に笑った。
「この子はなかなかいい仕事をするだろう」
「おのれ、レオンハルトオオオォォォッ!!」
ロランの槍から稲妻が走る。レオンハルトはそれを炎で迎え撃ち、そして、
視界が真っ白に染まった。
。亜鉛の効果ポリ ペプチドサプリメント マカ
最初に奪われポリ ペプチド
最初に奪われたのは髪だったdha epa。
双子ゆえに全くの瓜二つだったミモ亜鉛 の サプリザとステラを見分けるために髪型を変えてはどうかと最初に言い出したのは一体誰だったか。当時幼かったミモザにはさっぱり思い出せないが、大声で泣き喚いて「絶対に髪を切りたくない」と騒ぐ姉を前に、母が困ったようdhaに笑い「ミモザはどう?」と聞かれてただ頷くことしかできなかったことは今でも鮮やかに思い出せる。
次は色だ。
可愛いオレンジ色のワンピース。お気に入りだったのにいつの頃からかそれはステラのものということになっていた。双子ゆえに服はいつもシェアだった。髪を切る前まではミモザもピンクや黄色、赤といった明る亜鉛 の サプリい色をよく着ていたのにいつの頃からかミモザがその色の服を着ているとそれは奇妙なことだと思われるようになった。「お姉ちゃんの真似をしているの?」と聞かれることやステラにはっきりと「それはわたしのだよ、ミモザはこっち」と黒い服を渡されたこともある。
その派生で可愛らしい装飾のついたものも奪われた。
フリルやレースのついたものは当たり前のようにステラにあてがわれた。ミモザに与えられるのはシンプルなものやズボンばかり。いつのまにかミモザはボーイッゴーヤシュな女の子に仕立て上げられていた。
その頃にはミモザはもう何も言えなくなってしまっていた。もともと姉よりも大人しく引っ込み思案な子どもだった。けれど自分も可愛い格好がしたいと勇気を振り絞って訴えても実際に着てみても、微妙な顔で笑われたり「お姉ちゃんの真似」と言われたりするたびに、もはや何もしたくなくなってしまっていた。
姉に言ってもそれこそ暖簾に腕押しだ。虚しいばかりで得るものは何もない。
どんどん口が重たくなるミモザに友人達は離れていってしまった。そうしてステラはミモザに言うのだ。
「大丈夫よ、ミモザ。ミモザももっと頑張れば、絶対お姉ちゃんみたいになれるから」
一体誰がステラみたいになりたいだなんて一度でdha epa dhaも言ったというのか。
周囲も言う。
「いつかミモザもステラみたいに明るく話せるようになれればいいね」
ミモザはステラになど憧れてはいない。
きっとその周囲の言葉にミモザも笑って「そうだね、いつかステラみたいになりたいな」と返せればよかった。そうすれば周りは納得したのだろう。
けれどミモザは頷けなかったのだ。
*
ミモザは愕然とした。
それはなけなしの勇気を振り絞って「僕、いじめられてるんだ」と告白したミモザに彼女の美しい双子の姉が「あら、そんな強い言葉を使うものじゃないわ、ミモザ。きっと気のせいよ。大丈夫、お姉ちゃんがちゃんと仲直りさせてあげるからね」などとなんとも天然を通り越した唐変木な返事を返したからーーではない。
(頭がちかちかする)
豊かなハニーブロンドの髪に青い瞳をした、まるでビスクドールのように美しい少女が目の前にいる。
「ミモザ?」
学校へと向かう通学路。ミモザゴーヤが立ち止まったことに姉が怪訝そうに振り返る。
その姿は一枚の絵画のように美しく、薔薇色に上気した頬は少女らしいあどけなさを宿して愛らしい。
姉、いやちがう、彼女はステラ。いや、そうだ、ステラは確かにミモザの姉だ。なんでもミモザよりも上手にできる姉。人気者の姉。わがままで気まぐれで、しかしそれすらも魅力的な少女。
(そしてこの世界の主人公)
心配そうにこちらを覗き込む瞳の中に、目の前の少女と髪型以外は瓜二つのショートカットの少女が映る。
「…それってなんて地獄?」
「え?」
鏡写しのようにそっくりな2人の少女は立ち止まって見つめ合った。
1人は怪訝そうに、けれど微笑んで。
もう1人は絶望に真っ青に顔を染めて。
それはミモザが自分がこの世界の主人公である姉『ステラ』の引き立て役である『出来の悪い双子の妹』であることを思い出してしまった瞬間であった。
この世界は女性向けの恋愛要素ありのrpgゲームである。
いきなり降って湧いた記憶の中でミモザは1人の女だった。年齢も立場もわからない。わマカ サプリかるのは性別とおそらく成人しているであろうという朧げな記憶だけだ。
それとゲームが大好きでいろいろなゲームに手を出していたということだけ。
ゲームのタイトルも思い出せない。ストーリーも展開も朧げだが、はっきりとわかることもある。
このゲームの世界の人間は皆、守護精霊と共に生まれる。自身の分身である守護精霊はなんらかの動物に近い姿を取り、そして自身の生まれ持った性質や精神面の成長によってその姿や能力が変化する仕様である。
しかしたいていのものは物心がつく年齢にはその姿が定まり、能力も15歳ごろには完全に固定化されていく。
そして主人公の生まれ故郷であるアゼリア王国では精霊騎士と呼ばれる花形職業があり、主人公はその精霊騎士を目指して奮闘していくのである。
本来なら精霊騎士になるためには7つの塔の試練を受け、王都で開かれる大会に出場しそこで精霊騎士としてのランクとともに資格を授けられるのだが、もちろん、このゲームの世界でなんの面白みもなく試験が進むわけもなく、悪役の妨害や事件が起こる。
大きな事件としては野良精霊の暴走が起き、主人公であるステラは恋愛対象であるキャラ達とともにそれを鎮め、神聖であり最強を意味する『聖騎士』の称号を賜ることになる。
ちなみに主人公の前任の聖騎士も存在ゴーヤするが、物語の終盤あたりで主人公達を庇って死んでしまう。記憶によるとゲームの2周目ではその聖騎士ルートも解放されるという話があるらしいがミモザには全く思い出せなかった。
がらりと音を立てて教室のドアを開ける。
クラスのみんなは一瞬ちらりと視線をよこしたが、それがミモザであるのを確認するとすぐに視線を戻しそれぞれの会話へと戻った。
シカトである。
ミモザははぁ、と半眼でため息をつくとのろのろと教室の自分の席へと着く。
ーーそして『ミモザ』は小さな妨害であり、主人公に付きまといその試練をことごとく邪魔して回るという嫌がらせキャラであり、主人公の優秀さを際立たせるためにことごとく試練に失敗するという当て馬キャラでもあった。
机の引き出しを開くと真っ赤なペンか何かで悪口が書かれた紙切れと刃物、ガラスの破片がバラバラと出てきた。
ちらり、とショートカットの割には長めの前髪に隠して視線を周囲に走らせる。
(……あいつだな)
気づいていないふりをしながらもミモザの引き出しから落ちたゴミを見てにやにやと笑う奴がいた。
このクラスのガキ大将でありイジメの主犯、アベルである。
短い藍色の髪に切長の目をしたなかなかに整った容貌をした少年は、なんとステラの恋愛候補キャラのうちの1人でありゲームのスタート時の15歳にはちょっと生意気だが共に精霊騎士を目指す幼馴染として善良ぶって登場したりする。
ゲームの中のミモザは闇堕ちをしていてステラや幼馴アントシアニンの効果染達に執拗に嫌がらせを繰り返していた。
ミモザはぎゅっと握り拳を作る。
そうして天を降り仰いだ。
(いや、そりゃそうだろ!)
拳を机に叩きつけたい衝動をぐっと堪える。
ゲームをしていただけの前世のミモザにはその理由がわからなかったが、『ミモザ』として約12年間生きてきた今の彼女にはその理由がものすごくよくわかる。
悪質ないじめ、優秀な姉と比較されて貶される日々、おまけに善良だが無神経な姉になけなしの勇気をもって助けを求めて返ってきた言葉が「きっと気のせいよ」である。「仲直りさせてあげる」である!
いやこれは気のせいじゃねぇよ、と目の前に積み上げられた罵声の書かれたゴミと危険物を前にほとほと呆れる。
仲違いしてんじゃねぇんだよ、一方的に暴行を受けてんだよ、こっちは。
欲しいのは仲直りではなく謝罪と今後一切の不可侵条約である。
ぐぎぎぎぎ、とミモザは主人公そっくりの愛らしい顔を歪めて歯軋りをした。
俯いているため長い前髪に隠されて見えないがその形相はさながら悪鬼そのものである。
その勢いで人も呪い殺せそうだ。
しかしその勢いでアベルに怒鳴りつけるなどという行為は彼女には到底できないのであった。
前世ともいうべき記憶を思い出したものの、どうやらミモザの人格はミモザのままだ。多少自身を客観視できているような気もするが、それでも与えられた恨みつらみはそのままであり性格はまごうことなき小心者のままである。
何もやり返すことのできない自分に歯噛みしつつ、ふと机の上に目を向けるとそこには白い鼠の姿をしたミモザの守護精霊、チロがその気持ちに同意するようにうんう亜鉛 の サプリんと頷いていた。
「チロ……っ」
(心の友よっ!)
ミモザは歓喜した。そうだ、自分にはチロがいるのだ。決して1人ではない。
例え相手が自分の分身というか半身であろうが1人ではないのだ。
1人ではないと思い込めば1人ではないのだ。
「チィー!」
チロが鳴く。
その目は紅く不気味に輝き『この教室にいる奴ら全員ぶっ殺してやろうぜ!』と言っていた。
「いやダメだろ!」
思わず真っ青になって立ち上がる。途端にクラス中の人の視線がミモザに突き刺さった。
「……ひっ」
気分はさながら蛇に睨まれた蛙である。顔どころが全身から血の気を引かせて周囲にある机や椅子にぶつかりひっかかりながらも、なんとかほうほうのていでミモザは教室から逃げ出した。
もはや授業などどうでも良かった。
悲報、自らの半身がすでに闇堕ちしてるっぽい。
この世界では闇堕ちした場合にはある外見的特徴が現れる。
一つは体から滲み出る魔力のオーラ。通常白く輝くはずのこれに黒い塵のようなものが混ざる。
そしてもう一つが紅く輝く瞳である。
この世界には紅い瞳の生物は存在しない。
そう、闇堕ちーー狂化と呼ばれる現象を起こした生物以外には。
さて、では改めてミモザの守護精霊であるチロを確認してみよう。
白く輝く毛並みに大きな耳。きゅるりとした本来なら可愛らしいはずの瞳は紅く輝き爛々と光っていた。小柄な体からはどす黒い塵のようなオーラが煌々と放たれている。
「チチィー」
鳴く声はどすがきいていていつもよりすごみがあった。
『なぜあいつらに報復しないのか?』その瞳はそう不思議そうに問いかけてきていた。
「………」
ミモザが閉口していると、ふいにめきょめきょと音を立てて『彼女』の背中が盛り上がり、それまでただの毛であった部分が鋭い棘となった。
その姿はただの鼠から立派な針鼠へと変化している。ゴーヤ
闇堕ちしている、確実に。
(いや、いつから?)
少なくとも朝家を出た時はいつも通りだったはずだ。
(ということはー…)
先ほどの前世のものと思しき記憶。それを思い出したことによりチロの闇堕ちが本来より早まったのではないか。
(最悪だ)
普通こういう記憶を取り戻した場合は良い変化が起こるものなのではないのだろうか。ミモザの主観としてはゲームの設定よりも状況が悪化しているように思えてならない。
ミモザは両手にチロを乗せると恐る恐る問いかけた。
「チ、チロさん、ちょっと確認なんだけど」
「チチ」
「報復って具体的には」
「チ、」
チロはニヒルに微笑むとピッとサムズアップをしーー
「チチィ!」
それを勢いよく下に向けた。
「ダメだぁ!」
チロの殺意がとどまるところを知らない。
「そんなことしたら僕たち破滅しちゃうだろ!」
ミモザは半泣きで訴える。
そう、破滅。
『ミモザ』は物語の中盤であっさりと死ぬ役どころなのだった。
死因はまったく思い出せないが、きっと主人公に嫌がらせをした関係のあれやこれやに決まっている。
「いいか、チロ。僕たちにはアドバンテージがある」
言い聞かせるミモザにチロは同意するようにうんうんと頷く。
「まだあの『記憶』の信憑性はわからないけど、すさまじく現状とリンクしていることは確かだ。きっとこのまま何も考えずに進んでいれば、あの未来は起きかねないし僕は闇に呑まれて嫌がらせを繰り返すことになる可能性が高い」
というか確実にする。
現にチロは闇に呑まれかけているし、動機だけならことかかない。実際度胸があれば今だってやり返してやりたくてたまらない。
(けどできない!)
度胸がないからである。
大事なことだからもう一度。
度胸がない小心者だからである!
「つまり、今の僕たちがまずすべきこと、それはー」
ミモザは懐から一冊の本を取り出した。
そこに書かれたタイトルはずばり『初心者にもできる!呪術入門!』。
「彼らに不幸が訪れるように呪うことだ!」
その本をまるで救世主かのようにか亜鉛 の サプリかげてみせるミモザをチロは白けた目で見た。
そして針で刺した。
「いった!いたたたたた!痛い!やめて!」
「チゥー」
野太い声で恫喝するようにチロは告げる。
ふざけるな、と。
「いや別にふざけてないし僕は本気で、あ、ごめんなさい、痛い!ほんと痛いから!」
針で刺すだけでは飽き足らず噛みつき始めたチロにミモザは慌てて取り出した本を懐へと戻した。
「……さて、とりあえずどうしようかな!」
仕切り直しだ。チロが怒るので改めて考え始める。正直先ほどの案がミモザのできる最善策だと思うのだが、それを言うとチロがまた怒ってしまうのが明白なので黙って考えを改める。
「どう、したいかな」
思案するように呟く。
これからの行動を考える上で、それがおそらく一番重要だ。
このままゲームの通りにいけば破滅。けれどじゃあ報復もせずにただ指を咥えて黙って見ているのか。
(いじめっ子と妬ましい姉がなんの苦労もなく英雄になっていく様を?)
「僕はこのままは嫌だ」
チロを見る。彼女も同意するように頷いていた。
それは嫌だった。
(我ながら、性格が悪い)
嫌いな人達がより幸せになっていく様を見たくないだなんて。
その時、ふとゲームの中の一場面を思い出した。それはゲームの中で唯一ミモザが褒められるシーンだ。
『君は精霊との親和性が非常に高いのだね。それは精霊騎士を目指す上ではとても素晴らしい才能だ。大事にするといい』
姉のステラが聖騎士になる前の前任者、つまり現在の聖騎士である人がミモザのことをそう褒めるのだ。
のちにこの『精霊との親和性』というのは精霊とのつながりが深いという意味であり、勿論高ければ高いほど精霊騎士としての強さにつながるが、その一方で精霊が狂化してしまった際にその影響を非常に受けやすく、暴走しやすいというブラフだったことが明かされるのだがそれはそれとして。
ミモザがゲーム内で唯一評価されたのは『精霊騎士としての才能』であったのだ。
チロとの親和性。それだけは現状の最高峰である聖騎士に認められるほど高いのである。
その他はコミュニケーション能力も頭脳も他の諸々の何もかもが姉には敵わない。
チロとの信頼関係、それだけがミモザの財産でよすがだ。
アントシアニン「……奪ってやろうか」
それが例え一つだけでも。
友人も恋人も英雄の称号も他の何も奪えなくても。
精霊騎士としての強さ、それだけは。
「お姉ちゃんより強くなって、面子潰してやろうか」
一度だけでもいい。いやどうせなら、
「聖騎士の立場、もらおうか」
ミモザのその思い詰めたような仄暗い囁きに、チロは目を紅色にギラギラと光らせ一声鳴いた。
それは紛れもない同意の声だった。
。dha epaクロム亜鉛クロムアントシアニン
「んーー…」 dha epa dha
「んーー…」
ゴーヤマカ と は メモ帳を片手に首を傾げるミモザの足元には、おびただしい量の野良精霊の遺体が散乱していた。
あれから数刻ほどの時間が経過していた。その間延々と野良精霊を狩り続け、ミモザはある程度チロの扱い方を習得しつつあった。
とはいえそdha epa dhaれはゲームの中の『ミモザ』が使っていた技術をなんとかおさらいし終えた、という程度のものでしかないが。
記憶の中で把握した技術を書き出したメモ帳に、実際に行えたものはチェックをつけていく。
達成率は50%といったところだ。
「まぁ、初日だしこんなものか」
メモ帳を閉じ、手とチロについた血を振り払う。ふと思いついてかがむと野良精霊の遺体に手を伸ばした。
その白魚のような細い指先で遺体を容赦なく亜鉛探ると、ミモザはそこから白い結晶を取り出した。
「お小遣い稼ぎ程度にはなるかな」
それは魔導石である。
ゲームでも野良精霊を倒すとドロップし、売ることでお金稼ぎができるシステムだった。
そう、魔導石の正体は精霊の核である。今市場に出回っている物はこうして野良精霊を狩って手に入れた物や、もしくは墓を建てるという文化すらなかった太古の時代にあちらこちらに埋められたり遺棄されていたのであろう守護精霊の物を発掘した物であった。
「皮肉な話だなぁ」
悪質であると禁じられている守護精霊を切り捨てるという行為。しかしこれにより野良精霊クロムが発生し今は貴重なエネルギー源となっている。生活を便利にするためにあらゆる場所で魔導石が用いられている現在において消費される量はすさまじく、『過去の遺産』は確実にいずれ枯渇するだろう。今生きている人の守護精霊も死ねば魔導石として利用されることになるとはいえ、毎日の人が死ぬ量よりも魔導石の消費のほうが上回っている以上それは避けられない現実であった。それでも国と教会が守護精霊の切り捨てを禁じるのはその捨てられた精霊の種類によってどのような生態系の変化、あるいは突然変異が生まれるかが予測できないからだ。しかし野良精霊をエネルギー量確保のために養殖するという考えは宗教的、倫理的観念から現状では難しい。
結局のところ、今いる野良精霊達を絶滅させず亜鉛 サプリ おすすめ、人に危害が加えられない程度の数に抑えながら自然環境の中で保存し適宜必要量を採取するという、いうなれば放し飼いでの養殖のような形で今は落ち着いている。
この森の中は法律上野良精霊を狩って良いエリアである。特例はあるが一般的に一人が一日に狩っても良い野良精霊の数は20匹まで。
ミモザが今狩ったのは16匹。全く問題ない範囲である。
遺体の中からきっちり16個の魔導石を回収し、ミモザは立ち上がった。
日は少しづつ傾き、西の空が赤色に染まり始めている。
さて、暗くなる前に帰ろうとしたところで、
「それは、狂化しているのかい?」
そこで初めてミモザは人に見られていたことに気がついた。
。アントシアニンの効果マカ と は亜鉛 サプリ おすすめ
「な、なんでマカ
「な、なんで」
ミモザは思わず後退る。
「なんでもよ!」
「ステラ、いいから……」
マカ と は アベルが止めようとステラの肩に手をかける。
(そうだ!止め亜鉛 サプリ おすすめろ!お前の責任で止めろ!)
ミモザは心でエールを送った。しかし、
「ミモザ!」
ステラはその手を払いのけた。そのままミモザに詰め寄る。
「このままなん亜鉛 の サプリていけないわ。許されないまま、許さないままなんて絶対によくない」
(いや、それ決めるのお姉ちゃんじゃないし)
と、内心で思いつつ姉の迫力に負けて言い出せないミモザである。
結局ミモザが言えたのは「い、い、いやだ」という弱々しい言葉だけだった。
「ミモザ」
「いやだ」
「ねぇ、お願いよ」
「いやだぁ」
「ミモザだってお友達がアントシアニン減っちゃうのは嫌でしょ?」
「いやだぁ」
あ、しまった、と思った時にはもう遅かった。恐る恐る姉を見ると、彼女は満面の笑みを浮かべていた。
「そうよね!わかってくれるわよね!ミモザ!」
「いや、ちがっ、そうじゃなくて!」
「約束よ!わたしが勝ったら仲直り!」
そう言ってミモザの両手を取りステラはぶんぶんと振り回すと、教師から集合の合図がかかったことに気づいてそちらへと行ってしまった。
「い、いやだぁ…」
ぽつんと1人たたずんで、ミモザはぽつりとつぶやいた。
そしてちょっと泣いたdha epa dha。
ミモザにとって別の意味で負けられない戦いが始まった瞬間だった。
学校生活がうんぬん、これからの人生がかんぬん。
校長が何か長い話をしている。それをぼんやりと眺めていると、やっと話が終わったのか壇上から降りていった。
「生徒代表」
アナウンスに答えて「はい!」と元気よく返事をしたのは、当たり前のようにステラだった。
「宣誓!」
そのまま選手宣誓を始めるのをぼんやりと眺める。これから始めるのはそれなりに暴力的な行為のはずなのに、それは随分と牧歌的な光景であった。
定型文のそれはすぐに終わる。ステラの美しいハニーブロンドが青空によく映えた。くるりと身を翻して壇上から降りるその姿はすらりと背筋を伸ばし、自信に満ち溢れている。
ぶるり、とミモザマカ サプリは身震いをした。
段々と、ゲームの本編が始まったのだという事実に実感がともなってきたのだ。
ステラの姿、選手宣誓の言葉、あらゆるところに既視感が溢れている。
どきどきと心臓が脈打つ音が聞こえる。じっとりと汗が滲み出てきていた。教師の指示に従い、試合のための場所へと移動する。
田舎の村の生徒の数などたかが知れていた。そのため試合のためのコートは2つしかない。ただ校庭に長方形に縄で印がつけられただけの場所だ。
そのうちの一つへと案内されて立った。目の前に対峙するのは当然、ステラだ。
彼女の美しいサファイアの瞳が、情熱に燃えて凛とこちらを見据えていた。
「用意を」
審判役の教師に促され、お互いに守護精霊を武器の姿へと変える。
ミモザのチロはメイスへと。
そしてステラのティアラは美しいレイピアへと姿を変えた。
ぞくぞくと、身が震える。ゲームの姿通りの彼女が目の前にいる。
ステラの目に不安はない。いつだってそうだった。彼dha epa女は自信に溢れ、自身の存在価値を疑わない。
(僕なんかに負けないって思ってるんでしょ)
ステラがレイピアを正面に構える。ミモザもメイスを構えた。
(だからあんな賭けを持ち出したんでしょ?)
勝つと信じているから、軽々しく『賭け』を持ち出せる。
(そういえば……)
ミモザが勝った時の対価を決めていなかったな、と思う。ミモザもだが、それくらい自然に彼女は自分の勝ちを確信しているのだ。
「お姉ちゃん、僕が勝ったら何をしてくれるの?」
そう尋ねると、彼女は驚いた顔をした。
「あら、そういえばそうね。……うーん、じゃあ、わたしにできることならなんでも」
本当に軽々しいな、とミモザは思う。しかし別にそれでいい。今は、
(せいぜい油断すればいい)
「その言葉、忘れないでね」
「もちろんよ、ミモザ」
彼女は余裕の表情で微笑んだ。
「両者、準備はいいか?」
2人は同時に頷く。その姿は鏡写しのように瓜二つなのにその表情は正反対だ。
1人は微笑んで、
そしてもう1人は無表情だった。
「試合時間は20分。決着がつかポリ ペプチドなかった場合は仕切り直しとする。それでは、用意……、始め!」
戦いの火蓋は切られた。
その言葉と同時に、まず動いたのはステラだった。彼女がレイピアをまるでステッキのように振ると、そこから氷の破片が次々と放たれた。それをミモザは走って避ける。
(学校の履修程度でこの威力かよ!)
地面に突き刺さった破片はそのまま周囲を凍らせる。あっという間にコートの1/3は氷に包まれてしまった。あまり放っておくと足を取られる可能性が高いため、できる限りでメイスを振るい氷を破壊する。
レベルは3年間修練を積んだミモザのほうが高いはずだ。しかし現時点でMP量も魔法の威力もステラの方が上回っている。
ステラの弾幕のように放たれ続ける氷を避けながら、ミモザは棘を伸ばして反撃を仕掛けた。しかしそれはあっさりとかわされる。当たり前だ。ミモザの棘は直線でしか攻撃できないため、長距離を取られると軌道が読みやすい。その上コート上では遮蔽物も何もないのだ。複数の棘を伸ばしたところでその数はたかが知れているし、起点が同じ以上あまり数の利点はない。
そして今回は試合なので時間制限がある。消耗戦は狙えない。
本当に不公平だと思う。ステラのその才能の半分でもあれば、ミモザはきっと救われたのだろう。
だってスマカテラはまだ、持っている属性攻撃のうち一つしか出していないのだ。
ステラの持つ属性は二つ。それは最初から目覚めている。一つは氷、そしてもう一つはーー、
「ミモザ」
その時ステラが口を開いた。その唇は褒めるように慈悲深い微笑みをたたえている。
「戦うのがとっても上手になったのね。お姉ちゃんは嬉しいわ」
「何をーー」
「だからね、ミモザ」
彼女は慈悲深い微笑みのまま、レイピアを天高くに掲げてみせた。
「わたしのとっておき、見せてあげるね」
その手が振り下ろされる。それはミモザには首を切るギロチンを想像させた。
彼女のもう一つの属性攻撃、光だ。
。ゴーヤ亜鉛亜鉛 サプリ おすすめ
「ほら、こんゴーヤ チャンプルー
「ほら、こんなにいっぱい倒せたのよ」
dha ステラは両手いっぱゴーヤいに魔導石を抱えて笑う。
(うん……?)
その明らかに多い量にミモザは首をひねった。
「すごいね、えーと、40個くらい?」
「あら、そんなものじゃないわよ、そうねぇ、さっきマカ サプリ数えた時は72個あったわ」
「え?」
「ふふ、驚いた?すごいでしょ、2人で頑張ったのよ」
「ふ、2人で、」
「そうよ」
ミモザは強張った顔でなんとか笑みを作り、「これ、昨日の分とかも混ざってるのかな」と問いかけた。
「いいえ?昨日の分はこっち、これはね、今日の分よ」
「……っ!!」
ひゅっと息を呑む。ことの重大さがわからなゴーヤいのだろうか。
思わずアベルを見ると、彼は気まずそうに目を逸らした。
この国にはルールがある。野良精霊が絶滅しないように、一日に1人が狩れる野良精霊の数は20匹まで。
つまり2人で狩れる数は合わせて40匹。
それを遥かに超えた数の魔導石。
(違法行為だ)
「え、えっと、お姉ちゃん、1人20匹までだよ」
ミモザは震える声で訴える。
「そんなに野良精霊を狩るなんて、そんな酷い……」
そこまで言いかけてミモザははっとした。このシーンをミモザは知っている。
これは、ミモザの妨害イベントだった。
ゲームの中のミモザクロムは嫌がらせを繰り返す。ある時は塔に入るのを妨害したり、ある時は『いちゃもんをつけて魔導石を奪い去る』。
ミモザの中で、それらの認識が180度ひっくり返る。
(嫌がらせじゃない)
ミモザはステラを諭していたのだ。法律違反はいけないと。
(いやいやいや、ちょっと待て)
このゲームでは一回の戦闘で4~5匹の野良精霊とエンカウントする仕様である。つまり4回ほど戦闘を行えば20個に到達してしまう。アベルの分を含めても8回の戦闘で上限だ。つまり簡単に20匹という上限は超えられてしまう。そのうえプレイヤーはレベルを上げるために野良精霊との戦闘をわざと回り道をしたり練り歩いたりして何回もこなす。
そしてゲームの中ではこの野良精霊を狩る数の制亜鉛の効果限の話など1ミリも出てこない。
だからミモザの訴えがいちゃもんにしか聞こえなかったのだ。
(ということは、もしかすると他の嫌がらせも何かしらの意味があったのかも知れない)
今はまだわからないなんらかの理由で、ミモザは姉の違法行為を止めようとしたのだとしたら。
そこでミモザはもう一つ思い出す。ゲームのミモザは序盤は狂化していなかったということを。今のミモザがすでに狂化してしまっているのは前世の記憶を思い出したからだ。
(ゲームのミモザはまだ、お姉ちゃんのことを嫌っていなかった……?)
何せ姉から体を張って魔導石を奪うのだ。それは犯罪行為の隠蔽に他ならない。
思い返してみれば記憶を思い出す前、ミモザはステラにいじめの相談をしていたのだ。その時の心境はもはや思い出せないが、それはステラを信頼してのことだったに違いない。
(どうしよう)
冷たい汗が頬を伝う。チロも所在なさげに「チー」と鳴いた。
ゲームなら本来、ここは魔導石を取り上げる場面だ。しかし破滅を恐れるミアントシアニンモザとしてはここは何もせずに放っておくのが正しい。
(でも……)
そうしたらステラは咎められるだろう。野良精霊の狩猟制限を破るのはそれなりの罪だ。具体的には牢屋に入れられる可能性もあるし、初犯ではさすがにないだろうが繰り返せば精霊騎士となる資格も剥奪されるかも知れない。
(わからない、わからないよ、『ミモザ』)
語りかける。ゲームのミモザはステラを助けようとしたのだ。
忌々しいステラ、妬ましいステラ。
(どうして助けようとした?)
今決めなければならない。ここで魔導石を奪わなくてはステラはきっとなんの疑いもなく魔導石を売ろうとして捕まってしまう可能性が高い。
ミモザの頭の中をぐるぐると益体のない思考が駆け巡った。
「ああ、あの法律?」
ステラの声にはっと顔を上げる。ステラは涼しい顔で微笑んでいた。
「そ、そうだよ。知ってるでしょ」
ほっと息を吐く。話し合いで解決できそうだと思って一歩前に踏み出すと「でも、野良精霊なんて少ないほうがいいじゃない」と彼女はその気持ちを裏切るように言い放った。
「……え?」
「野良精霊がいっぱいいるとみんな困っちゃうわ。亜鉛ねぇミモザ、法律は大事だけど、それだけじゃなくてその意味をきちんと考えるべきだと思うの。きっと無茶して傷つく人を減らすために制限があるのよ。だから、わたしは強いから大丈夫」
彼女は花のように美しく笑う。ミモザの喉はからからに乾いて呼吸が苦しくなる。
「なに、言って、」
「わたしは20匹以上狩っても大丈夫よ。怪我も全然していないもの。ああ、でもミモザは大変だと思うから真似しちゃダメよ」
息が苦しい。心理的なストレスで呼吸が浅くなっているのだとミモザは思い、意識して深く息を吐いた。そして吸う。
「お姉ちゃん、違うよ。制限があるのはね」
そこまで言いかけて言い淀む。野良精霊の絶滅を防ぐためだ。エネルギーの補填のために、国と教会はある程度の野良精霊の繁殖を推奨している。しかしそれは公式見解ではなくただの暗黙の了解だ。みんな薄々察してはいるが、根拠となるものは何もない話だった。人に被害があるかも知れないにも関わらず、野良精霊を増やしていいなどと、国も教会も立場上おおっぴらに言えはしない。
「なぁに?ミモザ」
「の、野良精霊は絶滅しちゃいけないんだよ。魔導石が枯渇したらみんなが生活に困っちゃうでしょ」
「何を馬鹿なことを言ってるの、ミモザ」
鈴の音を転がすような軽やかな声で姉はころころと笑う。
「そんなこと誰も言ってないわよ。話を作っちゃだーめ。だったらなんで亜鉛 サプリ おすすめ教会は守護精霊を野に放つことを禁止しているの?野良精霊が増えると困るからでしょ?」
「それは、」
「ミモザ、羨ましいんでしょ」
ステラはにこにこと続ける。
「自分がたくさん狩れないから、お姉ちゃんにもやめて欲しいんでしょ。だめよ、人の足を引っ張るような真似をしちゃ」
ひゅっと息を飲む。話が通じない。元々天然で話が意図した形で伝わらないことはあったが、今回の件は天然だから仕方がないで済ませられる問題じゃない。
「お姉ちゃん、法律違反はダメだよ。お巡りさんに捕まっちゃうよ」
「大丈夫よ。話せばわかってくれるわ」
ミモザは首を横に振る。何度も、何度も。
その仕草がゲームのミモザが死ぬ直前にしていた動作と重なって、ミモザは動きを止めた。
目をつむる。息を吐く。
「チチッ」
「そうだね、チロ」
ミモザは同意した。
チロは、もうダメだ、見捨てよう、と言った。
覚悟を決めて、ミモザは姉を睨む。ゲームのミモザは優しかった。体を張って姉を止めようとしていた。けれどその結果がすべてを奪われて死ぬだけなのだと今のミモザは知っている。
そして申し訳ないが、今のミモザは姉のために濡れ衣をかぶるだなんてごめんだった。
「お姉ちゃん。僕は忠告したよ」
「ミモザ?」
「お姉ちゃん、僕は貴方の」
訝しげな表情を浮かべる姉の顔を見つめて、ミモザは宣告した。
「敵だ」
。マカ と はマカ サプリマカ サプリマカ と は
レオンハルトは英ゴーヤ チャンプルー
レオンハルトは英雄である。
国に被害をもたらすボス精霊やクロムの効能狂化個体を撃ち倒し、隣国との親クロム善試合で勝利を収めるなどの数々の手柄を挙げたことにより、平民にも関わらず聖騎士の称号とさらには爵位まで賜ったまさに実力ですべてを手に入れたサクセスストーリーの持ち主だ。
つまり何が言いたいかと言うと、
天才は人に物を教えるのdha epaに向かない。
その事実をミモザは今実地で味わっている。
彼は言った。
「まずは手本を見せよう」
それはまぁ、いい。そしてさらにこう続けた。
「人間は追い詰められた時に本領を発揮する」と。
「ひぃーー!!」
衝撃波がミモザの髪をかすめる。
「はっはっは!逃げてるだけじゃ修行にならないぞ!」
かくして地獄の鬼ごっこの幕が開けた。
再びレオンハルトの剣から斬撃が衝撃波として放たれる。ミモザはそれを死に物狂いで避けた。
「なにをしてる。同じようアントシアニンに攻撃して相殺しろ」
(いや失敗したら死ぬんですが!)
どうやらレオンハルト的にこの攻撃は見本を見せているつもりらしい。
(なにをしてるじゃない!)
貴方のほうこそ一体『なにをしている!』と言いたい。
(言えないけど!)
また衝撃波が放たれた。ミモザが隠れていた岩がチーズのように真っ二つになる。
ミモザがあちこちの木や岩を盾にしたせいで周囲は大惨事だ。
(まずい……っ)
遮蔽物が破壊され尽くし、盾にするものがなくなった。
レオンハルトが犬歯を剥き出しにしてにぃ、と笑う。
「さぁ、防いでみせろ!」
(死ぬ)
ひやりと冷たいものが体に走る。その時ミモザの身のうちに湧き上がってきたのはどうしてこんゴーヤ チャンプルーな目に合うのかというレオンハルトに対する理不尽な怒りだ。
学校でいじめられている時も感じていた。もう傷つきたくない。傷つけられたくない。もう誰にも傷つけられるのはーー、
「いやだっ!!」
その瞬間、一気に膜のような何かがミモザの周りに広がり、レオンハルトの斬撃を防いだ。
「……え?」
手の中からメイスが消えている。目の前には棘が何本も突き出た半球状の透明な壁が広がっていた。
「防御形態か。なかなか硬そうだな」
近づいてきたレオンハルトがそれを剣でガンガンと強度を確かめるように叩く。
「防御形態……」
パッと思わずメモ帳を取り出して確認する。確かゲームの中でミモザが使っていたものだ。メモには正式名称がわからないので見た目から『ウニの盾』と書いていた。とりあえず使うことが出来たのでチクロムの効能ェックをつける。
「なんだそれは?」
「……っ!」
ミモザのメモ帳をレオンハルトは興味深そうに覗き見ていた。驚いている隙にメモ帳を取り上げられる。
「あっ、それは、なんというか、こういうのが出来たらいいなーっていうやつで!」
「ほぅ?」
しげしげと内容を検分して、「よくできているな」と彼は頷いた。
「基本を抑えているし、どれも実現可能そうなものばかりだ」
「いやー、ははは……」
そりゃそうだ。
どれもゲームの中の『ミモザ』が使っていた技なのだから。
「印がついているのはもう出来ているものかな?」
「はい」
ふむ、とレオンハルトは一つ頷くと「よくわかった」と言ってミモザにメモ帳を返した。
(何がわかったんだろう)
嫌な予感がする。猛烈に。
「まずは防御形態のおさらいをしよう。一度できたからと言って満足してはいけない。いつでも自分の意思でできるようにならなければな」
言っていることはごもっともだ。ミモザは頷いた。
「それからメモに書かれていた他の技に関しても可能になるよう協力しよう。よマカ サプリうはその技を出さねばならない状況に追い込めばいいんだ」
その発言にはミモザは首をぶんぶんと横に振った。次に起きることの予想がついたからだ。
しかし事態はミモザの予想を裏切った。悪い方向に。
レオンハルトは笑顔でミモザのことをがしっと掴むと両足に縄を巻き始めた。
「あのー、これは……」
「先ほどので君は追い詰められれば本領を発揮できるということが実証された。しかしちょこまかと逃げ回られると面倒だからな。動けないようにしよう」
そのまま剣を地面へと打ち付ける。一瞬で地面にぼこっと穴が開いた。煙がたっているところを見るに、おそらく蒸発したようだ。
そこに縄で結えた両足ごと下半身を入れられて埋められた。
「あの、ご慈悲をいただけないでしょうか?」
一応聞いてみた。
「これが俺の慈悲だとも」
笑顔で返された。聖騎士というより魔王の笑みに見えた。
。マカ と はアントシアニンの効果亜鉛 サプリ おすすめ