試練の塔ゴーヤ チャンプルー

 試練の塔、第1の塔はチュートリアルの塔である。
 敵は一切クロムの効能出現しない。ただマッアントシアニンの効果プの見方や試練の塔の説明のためにあるような塔である。そのためその試練の内容は至極簡単で子どもでもできるお使いのようなものだ。あちらこちらに隠されているはずの鍵を探して塔の最上部にある扉に挿す、ただそれだけである。ただし鍵は3種類ある。そう、金銀銅のdha epa dha3種類だ。そのうちのどの鍵を見つけられるかにより、祝福の精度が変わるのである。そして今、ミモザはーー
「銅しか見つからない……」
 大量の銅の鍵を抱えて途方に暮れていた。
 もはや疲れ果てて天を見上げる。そこにはやはり塔の中にも関わらず綺麗な青空が広がっていた。
「クソゲーめ……」
「チー…」
 チロが慰めるようにミモザの頬を撫でる。ミモザはその優しさに「うっ」と泣き崩れたゴーヤ チャンプルー
 あたり一面には色とりどりの花畑が広がっていた。蝶々や蜂がぶんぶんと飛び交っている。その中で1人地面にへばりつくミモザ。
(悲しい……)
 いや、わかってはいたのだ。そうなるかも知れないと予測はしていた。
 しかし予測していたのと実際に起こるのとではやはり重みが違うのだ。
 通常確かに銅より銀の方が見つかりにくい。金など見つけられる人間は稀である。しかし銀は一般的に見つかる部類のはずなのだ。
 周囲を見渡せば銀の祝福を持っている人は普通にいる。特に騎士を目指すわけではない人でも普通に持っている。
 故にゲームのノーマルモードは銀で、ゴーヤ チャンプルーハードモードは銅なのだ。
「あの…、大丈夫ですか?どこかお怪我でも……」
「いやちょっと世界に絶望してただけなので大丈夫です」
「それは大丈夫なんでしょうか……」
 親切に声をかけてくれた人物はそこまで言って、「あれ?」と声を上げた。
「ミモザさん?」
「はい?」
 名前を呼ばれて顔を上げる。
「……何やってるんですか?本当に」
「僕の中の金髪美少女は地べたにへばりついたりしないんだけどな」と神妙な顔で呟くのは王国騎士団団長の弟子、ジーンであった。

「ミモザさん、まだ塔の攻略されてなかったんですね」
「そういうジーン様もですか?」
「ええ、僕は学園を先日やっと卒業しましたので」
「なるほど」
 やっと地面にへばりつくのをやめてその場に座るとミモザは頷いた。それは実によくある話だ。
 塔の攻略は13歳以亜鉛 の サプリ上ならば可能だが、本当に13歳を迎えてすぐに攻略に向かうのはだいたいが学校にもあまり通えないような貧困層である。なぜなら塔の攻略いかんによって就職先や給料が大きく左右されるからだ。
 一応この国ではどこに住んでいても学校に通い、基礎教育を受けられるように整備が進んできているが、無料というわけではない。国から補助金が出ているため安価ではあるが、それでも少しのお金でも切り詰めたい場合や子どもに働いてもらいたい状況の場合は通えない者も多い。レオンハルトなどはこの例である。
 対してミモザやジーンなど学校に通えている者は学校卒業後、つまり15歳に塔の攻略を始めることになる。これは当然、学校を卒業していた方が卒業していない場合よりもその後の進路に幅が広がるためである。
(学園に通ってたならなおさらだろうな)
 学園といった場合に指し示すものは王都にある国立中央学園のことである。これは貴族の子息、子女が通う学校でミモザが通っていた学校など比較にもならないくらいのエリート校であり、そして国立にも関わらず非常に高いdha epa dha学費の必要な学校である。一応最近は特待生制度などができ、平民や貧しい人も優秀であれば通えるようになってきたらしいがまだまだ貴族のエリートが通う学校としての印象が強い。ここを卒業すれば国立中央学院という更なる叡智を学べる研究機関への道が開かれるのだ。当然、いつでも誰でも挑める塔の攻略などより学園の卒業のほうが優先されるだろう。王国騎士団団長の弟子な時点でエリートだとは思っていたが、彼はミモザの想像以上の超エリートだったようだ。
「僕も先日学校を卒業したので今日から攻略開始です」
「へぇ」
 ジーンは意外そうに相槌を打った。おおかたレオンハルトの弟子なので学校に行っていないと思われていたのだろう。
(まぁ、間違いではない)
 厳密には通っていない。不登校なので。
「そういえば……、先ほどミモザさんにそっくりの金髪美少女に出会ったのですが、お知り合いでしょうか?」
「えっ」
 のんびりと続けられた言葉にぎょっとする。ミモザにそっくりな人間などこの世に1人しかいない。
「確か名前はステラさんとおっしゃっていました」
「ど、どこで会ったんですか!?」
「え?ええと、王都の大通りで……、お買い物をされていたようで」
 その言葉にほっと胸を撫で下ろす。どうやらまだ塔に来ているわけではないクロムらしい。なるべく鉢合わせたくないのだ。
「ええと、彼女は……」
「あ、僕の姉です。双子で」
「ああ、通りで。あんまりにそっくりなのでミモザさんかと思って間違えて声をかけてしまったのです」
 続けられた言葉にミモザは「ん?」と首を傾げる。どこかで聞いたことのあるような話だ。
 王都、知り合いと間違えて声をかける、エリート。
「攻略対象……?」
「はい?」
 思わず行儀悪く指差したミモザに、ジーンは不思議そうな顔をする。その顔をまじまじと見つめるが、正直まったく思い出せない。
 清潔に切り揃えられたサラサラの黒い髪に優しげな黒い瞳。爽やかな笑顔で立つその姿は、
(まぁ、イケメンといえばイケメン)
 攻略対象であっても不思議ではない。
 ゲームの攻略対象はレオンハルトと王子の隠しキャラ2人を除くと全部で5人。全員所属する組織が違うのが特徴である。幼馴染のアベル、被害者遺族の会のマシュー、そしてあと出てきていないのは保護研究会と学園のエリート、大人枠の学院の教師である。
 特徴としてはジーンは十分に当てはまっている。ここまで共通項があれば彼が攻略対象とみて間違いないだろう。
(全く思い出せないけど!)
 まぁ、全ての記憶があるわけではないから気がつかなくてもしょうがない、と誰ともなしに心の中で言い訳していると、ジーンははぁ、と残念そうにため息をついた。
「ミモザさんって金髪美少女なのに、らしからぬ性格をしてますよね」
「最初に会った時も思ってま亜鉛 サプリ おすすめしたがジーン様のその金髪美少女に対する歪んだ価値観は一体なんなんでしょう?」
 こてん、と首を傾げるミモザにジーンがむっ、と眉を寄せる。
「歪んでませんよ」
「歪んでますよ」
「美少女は巨乳なんて言わないし地べたに這いつくばらないんですよ、普通は」
「誰だって巨乳って言っていいし地べたに這いつくばる権利くらいありますよ?」
 そのまましばらく2人は見つめ合った。ややして「ああ」とミモザは納得したように頷く。
「もしかしてジーン様、あまり女性と接したことがないんでしょうか」
「は、はぁーっ!?」
 明らかに動揺したようにジーンは目を剥いて声を上げる。
「あ、ありますよ!先生は女性じゃないですか!」
「じゃあ同年代の女子と接した経験は?」
 彼はそっぽを向いてうつむいた。
「く、クラスメイトと」
「クラスメイトと?」
「あ、挨拶くらいしたことあるし?」
「つまりそれ以外はないんですね」
「うぐぐっ」
 うめくジーンにミモザはさらに首をひねる。
「普通貴族って婚約者とかいるものなんじゃないんですか?」
「みそっかすの三男にそんなものはそうそういませんよ」
 むすり、と彼は不機嫌そうにそう告げた。
「親には好きにしろって言われてそれだけです」
「自由でいいじゃないですか」
「よくないですよ!三男なんてね!どっかいいとこに頑張って就職するか婿入りしない限り穀潰し扱いで家族に冷たい目で見られるんですよ!長男のスペアですらないから家に居場所がないんです!!」
 なかなか複雑な立場らしい。彼はぶつぶつと「女の子が欲しいから産んだのに男の子が産まれちゃった結果の僕ですよ」とぼやいた。
「だから僕は頑張ってるんですよ。真面目に勉強して学園で優秀な成dha績をおさめ、先生に弟子入りして、エリート街道を走って決して無能だなんて思われないように……」
「その結果女の子との接触が無さすぎてこじらせちゃったんですか?」
「こじらせてません!」
 ジーンは拳を振り上げて力説した。
「女の子はお花と砂糖菓子となにか素敵なものでできてるんですよ!」
「女の子の構成要素は血と肉と骨ですよ」
「うそだー!!」
 しかしすぐに打ちのめされて耳を塞いで叫ぶ。本人も多少夢を見過ぎている自覚があるのだろう。しかし認め難いのか弱々しくあらがった。
「お、女の子はなんかいい匂いがして、髪の毛サラサラで、下品なことは言わないんだ」
「何もつけなきゃ普通に汗の匂いですし、髪の毛ぼざぼさの人もいるし、下ネタも言いますよ」
「イヤー!!」
 しかしすぐに返り討ちにあってうずくまる。
「うっうっ、僕の理想の女の子像が汚された」
 ミモザはその背中に優しくそっと手を添える。そうして穏やかに諭した。
「よかったですね、早くに目覚められて」
「最悪だ……」
 幽鬼のようにうめくジーンの背中をさすってあげながら、少しやりすぎたか、と反省する。
 まぁ言ったことはすべて事実である。
マカ サプリ亜鉛 サプリゴーヤ チャンプルーアントシアニンの効果

 空は夕焼けゴーヤ

 空は夕焼けに赤く染まっていた。徐々に暗闇が迫ってきており、外を出歩く人間はまばdhaらだ。そしてそんな中、誰もいない裏路地にぽゴーヤつんと佇む少女がいた。
 白いフードを被って隠してはいるがわずかに美しい金色の髪がこぼれて夕日に照らされてキラキラと光っていた。白いフード付きのパーカーに黒い短パン姿の少女は俯亜鉛いて何かを待っているようだ。伏し目がちな瞳は退屈そうに足元を見つめている。
「おや、また来たのかい。お嬢さん」
 その時建物の影から滲み出るように黒いローブに身を包んだ長身の男が現れた。その男は足音を立てずに地面をまるで滑るように少女に近づくと、その顔を覗き込んで笑った。
「先日、大量に買って行ったばっかりじゃないか」
「そうなんですか」
 淡々とそう言クロムうや否や、少女の手にいつの間にか握られていた巨大なモーニングスターメイスが男の胴を薙ぐように振るわれる。
「………っ!?」
 男は間一髪のところでそれを避けた。しかしわずかに棘がローブに引っかかり破ける。
「……ちっ、外したか」
 それを見て少女ーーミモザは嫌そうに舌打ちをした。
「おまえ、誰だ? いつもの客じゃないな?」
 男は訝しげに目を細めて睨む。
 それにミモザはフードを外すことで答えた。短いハニーブロンドの髪が風にさらされる。
「よくぞ聞いてくださいました。僕は貴dha epa方の常連の女の子の双子の妹」
 そこでミモザは両腕を真っ直ぐに伸ばすと時計回りにぐるりと回し、斜め45度ほど上方へとビシッと伸ばしてポーズを決めた。
「人呼んで、筋肉大好き少女、ステラです!」
「筋肉大好き少女、ステラ……?」
 男はしばし何事かを思い出すように考え込んだ後で
「それは俺の客の方の奴の名前だろう」
 とつっこんだ。それににやり、とミモザは笑う。
「おや、姉の名前をご存知でしたか。そのご様子だと顧客リストなどの情報をまとめている匂いがぷんぷんしますね」
「だったらどうした」
「ご提供いただけますか?」
 男はふん、と馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「しない」
「でしょうね。ああ、僕はミモザと申します。どうぞよろしくお願い致します」
「お前は騎クロム士団の犬か?」
 その質問に考え込むのは今度はミモザの番だった。
(……犬?)
 別に騎士団に所属はしていないが、従っていると言う意味ではまぁ、確かに、
「犬かも知れないですね」
「なんだその曖昧な返答は」
「微妙な立ち位置だということです。まぁ、騎士団の味方です」
「あいつらは嫌いだ」
 男は年齢にそぐわぬ拗ねたような表情をして言った。その言い様にミモザはこてんと首をかしげる。
「なぜですか?」
「卑怯者だからだ! 集団でよってたかって……っ」
「集団で戦うことが卑怯ですか」
「そうだ!」
 男のその発言に、ミモザは「この人もぼっちなのか……」と口の中だけでつぶやいた。
 ミモザの胸の内にかつての自分の学校生活の記憶が蘇る。
 そして彼女は可哀想なものを見るような目で男を見ると、ゆっくりと首を横に振った。
「いいえ、残念ながらその認識は誤りです」
「なんだと!」
「それは世界の摂理なのです。すなわち……」
 いきり立つ男を手で制しつつ、ミモザは彼を真亜鉛 の サプリっ直ぐに見据えて告げた。
「仲間が多いのは卑怯ではなく、ただのステータス!」
「………っ!」
 ぐっ、とそのまま自身の胸元を手で掴む。この言葉はミモザ自身にも効く諸刃の剣だった。
 しかし言うことは言わねばならない。
「ぼっちは肩身が狭いのが悲しいですがこの世界の摂理であり、弱肉強食のルールなのです」
「お、おまえ……」
 男はわなわなと震える。そしてミモザのことを批難するように指差した。
「なんて酷いことを言うんだ! おまえ、さては嫌な奴だな!」
「まぁ、否定はしません。しかし残酷なようですがそれが真実なのです」
 そこでミモザは慰めるように笑いかける。
「でも大丈夫ですよ。他人は他人、自分は自分、とちゃんと切り分けて考えることができるようになれば、一人でも気にせず快適に過ごせるようになりますから」
「もう怒ったぞ! おまえは生かして帰さない!!」
 そう言って彼は懐からじゃらりと鎖で首にかけていたと思しき黒い五角形を取り出した。五角形には向かって右下に金色の印が付いている。
「俺は保護研究会、五角形のうちの一角、バーナードだ! いざ、参る!」

 こうして戦いの幕は切って落とさアントシアニンれーー、なかった。
 数分後、ミモザはじゃらじゃらと連なった鈴を両手に持ち、じゃんじゃか振り鳴らしながら踊っていた。
 勝率を上げるおまじないの舞いである。
「……それ、いつまで続くんだ?」
 バーナードは腕組みをしてそれを眺めている。それに爽やかな汗を振り撒きながらミモザは笑顔で答えた。
「あと3分ほど!」
「おまえ馬鹿だろ」
 その呆れたような言葉にふふん、とミモザは得意げに笑う。
「けど貴方は待つでしょう?」
「ああ?」
「最高のコンディションの人間と戦いたい! 卑怯を嫌う貴方はその欲に抗えない!」
「……ふん、さっさとしろ」
(狙い通り)
 ミモザはにやりと笑う。事前の情報通り、彼は逃げ回る割には自身の強さを証明したくて仕方がないらしい。おかげでミモザもゆっくりと戦いの準備ができるというものだ。
「貴方、保護研究会と言いましたが、どうしてこんなことを?」
 じゃんじゃかじゃんじゃかと鈴を鳴らして踊り狂いながらミモザは尋ねる。それに彼は少し聞き取りづらそうにしながらも「研究資金を回収するためだ」と律儀に答えた。
「今回のこの薬ができたのは本命の研究の副産物に過ぎん。古代の魔薬生成を試みた中のうちの一つだ」
「本命?」
 首をかしげる。彼はふふん、と得意げに笑う。
「不老不死の研究だ」
「……できるとでも?」
 不信げにミモザが尋ねると、彼は鼻息荒く亜鉛の効果「できる!!」と断言した。
「エオの奴がそれをずっと研究してるんだ! それを俺が先に開発して鼻を明かしてやる!!」
「……はぁ、エオとは?」
「保護研究会のうちの一角だ。あの野郎、すかしやがって。俺の方があいつなんかよりもすごいんだ!!」
 うすうす気づいてはいたが、どうにも彼は子どもっぽい性質の持ち主らしい。善悪は関係なく、自身の好き嫌いの感情のみで動いているようだ。
 彼は苛立ったように腕組みをとくと袖口から現れたムカデを鞭へと変え、それをしならせて地面を打った。
「あいつ、生意気だ。俺の方が年上なのに、研究だって長くやってるのに、次々と成果を上げてるからって調子に乗りやがってっ。ロランの奴もどうしてあんなのとつるんでるんだ!」
 そのままぶつぶつと文句を言い始める。
 じゃらじゃらと鈴を鳴らしながら踊り狂う少女とそれを意に介さず内にこもってぶつぶつと文句をたれる長身の黒ずくめの男。
 かなり異様な光景がそこには繰り広げられていた。
 しばらくそのような景色が続いたが、それは何度目だっただろうか。バーナードが再度苛立たしげに鞭を地面に振り下ろした際に、何かに気づいたようにその手を見つめ、ハッと顔を上げる。
「……貴様っ!!」
「ふっふっふ」
 その反応にミモザはやっと踊るのをやめて不気味に笑った。
「今更気づいても遅いですよ! 貴方には毒を盛らせていただきました。身体が痺れるでしょう。踊りながら痺れ薬をまかせていただきましたよ!」
 ビシッとバーナードのことを指差す。それに彼は悔しそうに顔を歪めた。
「カスがっ! おまえも吸dhaってるんじゃないのか?」
 その言葉にミモザはふ、とニヒルに笑う。
「当然! 僕にも効いています!」
「おまえ馬鹿だろ!」
「何を失礼な、これを見てもそう言えますか?」
 そう言って自慢げにミモザはポケットから小さな液体の入った瓶を取り出して見せる。
「それは……」
「解毒剤です」
 それを見せびらかすように天高く掲げてミモザは堂々と宣言した。
「さぁ、観念しなさい。僕は犯罪者と正々堂々と戦うなどはしない。貴方の言う通り『嫌な奴』ですからね。あなたがしびれて動けなくなったところをのんびりと捕縛させていただきますよ」
 にんまりと笑う。
「そろそろ身体が辛くなってきたんじゃないですか? 降伏するなら今のうちですよ」
「……ちっ」
 バーナードは苦々しげに舌打ちをした。そして諦めたかのように両手をだらりと下に下げた。ーーと思った次の瞬間、彼はミモザの背後へと移動していた。
「………っ」
 繰り出された鞭をミモザは持っていた鈴を投げることで防ぐ。バーナードの足元には魔法陣のような物が光っていた。
(移動魔法陣!?)
 やられた、と思う。確か第4の塔で手に入る祝福だ。彼はあらかじめミモザの背後に移動魔法陣を仕込んでいたのだ。いや、きっと背後だけではない。彼がいつも決まった場所にしか現れなかったのは、この周辺一体に移動魔法陣を仕込んでいるからなのかもしれなかった。
 動揺したミモザの手が無防備にさらされる。その手に握られた解毒剤目掛けて鞭がしなった。ミモザはたまらずそれを手放すことで攻撃を避けた。
 彼の鞭が解毒剤の瓶を器用に掴み、引き寄せたところで鞭を持つのとは反対の手で受け止める。
 バーナードはにやりと悪辣に笑うと、ミモザに見せつけるようにその瓶の中身を飲み干した。
 クロムの効能辺りに空き瓶が地面に落ちて割れるかん高い音が響き渡る。
「馬鹿め。余裕をかましてるからこうなるんだ。
形勢逆転だな。それとももう一つ解毒剤があるのか?なら飲むまで待ってやってもいい。俺は卑怯は嫌いだからな」
「……… 」
 ミモザは無言でうつむいた。それにバーナードは嬉しげにテンションを上げる。
「どうした!? 早く選べよ! ふふん、ショックで言葉もでないか!?」
 それでもミモザは動かない。ただうつむいて黙ったままだ。
「うん? お前もしかしてもう薬が回って……っ」
 バーナードが訝しげにミモザに近づこうとして、そこで息を詰まらせる。苦しげに胸を押さえ、その体がゆっくりと横へと崩れ、地面へと倒れ伏した。
「……あっ、ぐぅ……、な、んで……っ」
 苦しげにはかはかと息をする。そんなバーナードの様子にミモザはそこでやっと動き出し、ゆっくりと彼に歩み寄った。
「言ったでしょう。僕は犯罪者と正々堂々となんて戦わない」
 近くまできて、足を止める。その澄んだ湖面のように青い瞳で苦しむ彼を見下ろし、ミモザは言った。
「『嫌な奴』ですから」
 うっすらと微笑み、ミモザは彼の手から鞭を蹴り飛ばす。それはやがて力無く小さなムカデへと姿を変えた。
「貴方の飲んだ薬、解毒剤というのは嘘です」
 それを興味なさげに見ながらミモザは続ける。
「本当はそっちが毒でして、いやぁ、飲んでくれて助かりました」
 踊っている時、ミモザが撒いたのは毒薬ではなく新技『殺虫剤』である。しかしそれだけでは指先などが痺れてピリピリするだけで捕獲には至らない。だから自主的に毒を服用させるためにわざと自分自身に効くはずのない魔法ではなく、薬を撒いたと嘘をついて偽の解毒剤を見せびらかした。これは合成スキルを使って作り出した本当に全身が痺れてしまう即効性の毒である。死にはしないが半日はろくに動けないだろう。
 もはや何も言え亜鉛の効果ず意識を朦朧とさせるバーナードに、
「黒い密売人さん、つっかまーえーたっ」
 そう歌うように言ってミモザはポケットに入れていた信号灯を取り出すと火をつけた。
 パシュッと小さな音を立ててそれは空へと上がり、居場所を知らせるように周囲を光で照らし出した。

 信号灯の明かりが空に瞬く、とともにレオンハルトは風を切って駆け出していた。
 最短距離を行くために建物の屋根の上を彼は疾走する。
(無事だろうか……)
 ミモザのことだ。事前に作戦は聞いて知っているが、それでも心配は尽きない。
 レオンハルトはいつも前線に立っていた。危険な時、予測が難しい時、困難なケースほど先陣を切るのはレオンハルトだった。
 だからこうして、誰かを心配して結果を待つなどという行為に彼は慣れていない。
(まったく……)
 レオンハルトは自分で自分に呆れる。
 始めに弟子として迎え入れた時は、自分がこんな風になるだなんて考えてはいなかった。ただ自分と似たような境遇の子どもを気まぐれにそばに置いただけだったというのに。
 ミモザが、こんなにもレオンハルトの心の中を大きく占める存在になるなど想定外だ。
 その時きらりと暗闇に光る物をレオンハルトの目は捉えた。それが彼女の金髪だと気づいて地面に降り立つ。
「無事か」
「はい」
 短く聞くと短く返事が返ってくる。彼女のそばには黒いローブをまとった男が倒れていた。
 それが動けない状態であることを確認すると、ミモザに怪我がないかどうかを素早く確認した。
 彼女は無傷だ。
 それにほっと息をついて、改めてレオンハルトはミモザを見下ろした。
 ミモザはレオンハルトの視線に気づいて悪戯に成功した子どものように、にやりと笑う。
「勝ちましたよ、僕」
「ああ」
 レオンハルトは軽く頷いて、笑った。
「よくやった、ミモザ」
 弟子にとらなければよかっただろうか、とレオンハルトは口に出せずに思う。そうすればこのような危険なことに彼女を駆り出さずに済んだだろうか。
 しかし彼女が自分の隣にいないという状態を、レオンハルトはもう想像できないのだった。
クロムマカ サプリマカ と は亜鉛dha epa

 チロを構亜鉛 サプリ

 チロを構える。そのまま大きく振りかぶると、目の前にいる敵へと向かっマカ と はてー……、
(違う……っ!!)
 直前でミモザは理性を取りアントシアニンの効果戻した。しかし振りかぶった手の制御がきかない。目の前の景色がチカチカと赤と白に明滅を繰り返す。
「……っ、お前は僕のものだろうが……っ!!」
 あまりの怒りにミモザは怒鳴っていた。その瞬間、身体のコントロールゴーヤがミモザの手の内へと戻る。
「うんん……っ!」
 唸る。モーニングスターメイスの無数にある棘のうちの一つが振った勢いに合わせて槍のように伸び標的を突き刺そうとするのをーー、
 直前でその軌道を無理やりずらした。
「……っ」
 息を呑む。棘はレオンハルトの脇に生える木を貫いた。
 それにレオンハルトはわずかに眉をひそめただけだった。おそらく直前で軌道が変わり、自身に当たらdhaないことを悟ったのだろう。微動だにせず、けれど油断なく剣を構えて立っていた。その身体からは適度に力が抜けており、どこに攻撃を仕掛けてもすぐに対応されてしまうであろうことが素人のミモザでもわかった。
 その場に沈黙が落ち、膠着状態に陥る。
 ふっふっ、と荒い息を漏らしながら、ミモザは身体を支配しようとしていた狂気が引いていくのを感じていた。
「君はーー、」
 レオンハルトの声にびくりっ、と身をすくませる。
「ち、違うんですっ、いや、違わないんですけどっ、違くてっ、あの、襲うつもりなんてこれっぽっちも……っ」
そこ亜鉛 の サプリまで半泣きで言ってから、棘がまだ木に突き刺さったままなことに気づき慌ててそれを戻す。
「あのっ、ごめんなさいっ!!」
 そのまま敵意がないことを示すために頭を深々と下げた。
 顔を上げられない。
(どうしよう……!)
 涙が溢れた。
(怖い)
 アベルなど比較にもならない。そこには圧倒的な強者がいた。
 その気になればミモザのことなど赤子の首をひねるように殺すことができるのだと、本能でわかる。
(いや、おそらく殺されはしない)
 心の中で必死に言い聞かせる。殺されはしない。相手は聖騎士である。殺人鬼ではない。
 けれど捕まってはしまうだろう。または処置としてチロを取り上げられてしまうかも知れない。
 守護精霊との接続を切り離すことは原則禁止だが、狂化個体に関しては適切な処置とし亜鉛 の サプリて行われることがあった。
「ふむ、自力で抑え込んだか」
 その声音には面白がるような感心するような響きがあった。彼はそのままミモザの近くに散らばる野良精霊の遺体を見て目を細める。
「いい腕だ。教会に引き渡すのは惜しいな」
 その言葉に思わずミモザは顔を弾かれたように上げる。
 その顔は恐怖と涙でぐちゃぐちゃだ。
 彼は悠然とミモザを見返すと、顎に手を当て思案するように首を傾げた。
「君、一生その狂気と付き合う気はあるかい?抑え続ける自信は?」
 にっこりと微笑んで、彼はまるで明日の天気でも尋ねるような調子でそう問いかけた。
 その笑顔はとても爽やかで整っているのに、ミモザには何故か悪魔の微笑みに見える。
 しかしこの悪魔に気に入られなければ未来がないことだけは理解できた。
「あります!」
 食い入るように答える。
「……素直に教会で『処置』を受けた方が楽だぞ。一生自らの業に振りゴーヤ チャンプルー回されて苦しみ続けることになる」
「それでも……」
 ぐっ、と唇を噛み締める。
「それでもいいです。自分のこの、感情を手放すくらいなら」
 きっとチロを手放せばそれと引き換えにミモザはこの憎しみも妬みも投げ出せる。
 しかしそうした時のミモザは果たしてこれがミモザ自身であると自信を持って言えるだろうか。
 チロはミモザ自身だ。ならばチロを失ったミモザはもう元のミモザではないだろう。
 嫉妬も報復も、元々愚かな選択なのは重々承知だ。
「いいだろう」
 レオンハルトは満足げに頷いた。
「見逃してやる。君は自由だ」
 その言葉を聞いた途端、ミモザの体から一気に力が抜けた。しかし疑問は残る。
「……なぜ、」
「わからないか?君にならわかるはずだ」
「……?」
 そう言われてよくよく目を凝らす。レオンハルトは何も隠すことはないというように剣を翼獅子の姿へ戻すと両手を広げてみせた。
 その姿はどこからどう見ても愛想の良いただの美形だ。
 立っているだけできらきらしい。
 けれどミモザは歪みにも似た違和感を覚えた。
「あなたは、」
「うん?」
「あなたも、狂気にサプリメント マカ囚われているのですか?」
 肯定するように彼はにやり、と笑った。金色の目が肉食獣のような獰猛さで輝く。
 そしておもむろに右目を覆う前髪を手でかきあげた。
「……あ」
 そこには右目全体を潰すように火傷のような傷跡があった。まつ毛もないその右目の瞼がゆっくりと開かれる。
 ぎらぎらと輝く紅の瞳が真っ直ぐにこちらを射抜いた。
 慌てて翼獅子を確認する。しかし彼のオーラはまばゆいばかりの白色で、特に黒い塵のようなものは混ざっていない。
 しかしそれなのに何故かわかる。目の前の彼が自分と同類なのだと。
 そこにはシンパシーのような運命共同体に出会ったかのような何かが確かに存在していた。
「これをやろう」
 差し出されたのは彼の髪を結っていたリボンだ。黒色のビロードで出来たそれは黄色く透き通った石と、それを守るように描かれた黄金の翼獅子の刺繍がされたいかにも高価そうなものだった。それを外した途端に彼の翼獅子からは黒い塵が濃密に噴き出し、その瞳が赤く染まる。
 ミモザはその光景に目を見張った。
 彼は苦笑する。
「これについている宝石は実は魔導具の一種でね。幻術を見せる効果がある。大したものは見せられないが狂化の兆候を誤魔化すくらいの効果はある」
 ミモザは戸惑い、逡巡した。正直に言えば喉から手が出るほど欲しい。これがあれば今後の憂いが大きく減るのは間クロム違いなかった。けれど、
「でもこれがないと貴方が……」
「ああ、俺は家に帰れば予備がもう一つあるからいいんだ。それよりもこれがないと君はすぐにでも捕まってしまうよ」
 どうにも詐欺にも似た怖さを感じる。
 しかし悩みながらも結局ミモザはおずおずと手を伸ばしてそれを受け取った。
 その様子にレオンハルトは目を細めて微笑む。
「いいこだ。これがあれば同じように狂化した相手以外は騙せるだろう。狂化した者同士はなんとなく感じ取れてしまうのだよ。困ったことにね」
「……どうしてこんなによくしてくださるのですか」
「君には才能がある」
 間髪入れずに言われた言葉にミモザは目を見開いた。
「君は精霊との親和性が高いな。それは精霊騎士を目指す上ではとても素晴らしい才能だ。そしてその上で狂気に引きずられない意志の強さがある。正直感情のままに狂気に飲まれるようなら教会に引き渡すつもりだったよ。けれどコントロールできているなら誰に迷惑をかけるわけでもない。わざわざ取り締まる必要性を感じないな」
「………」
 その言葉を聞きながらもミモザの疑心暗鬼は収まらなかった。それをレオンハルトも察したのだろう。「そう警戒してくれるな」と苦笑する。
「……まぁ、共犯者の優遇だよ。俺も人間だからな。判断基準はわりと不公平なんだ」
 そう告げると彼はミモザを安心させるようにおどけた仕草でウインクをしてみせた。
「では、俺はこれで失礼するよ。せいぜいバレないように気をつけるマカ サプリんだな、検討を祈る」
 パッと手を上げて颯爽と身を翻す姿は潔く、どこまでも爽やかだ。
 しかしその身と守護精霊から噴き出す濃密な闇の気配がそれを裏切って禍々しい。
「え、えっと……」
 ミモザは焦る。
 彼は恐ろしい。自分の命を簡単に脅かすことのできる存在への恐怖は拭えない。ーーけれど、
「待ってください!!」
 気づけばミモザは彼を引き止めていた。彼は怪訝そうな顔をして振り返る。
(……う、)
 ミモザなど比較にならないほどの濃密な黒い塵の濃度と威圧感に身がすくむ。
「あ、あの……」
 ごくり、と唾を飲む。恐ろしい。恐ろしいがこれを逃したら、きっとミモザに次のチャンスはない。
「ぼ、僕を貴方の弟子にしてくだひゃいっ!」
 ミモザは盛大に噛んだ。
クロムの効能サプリメント マカクロムクロムの効能

「難しいお話は終ポリ ペプチド

「難しいお話は亜鉛終わったの?」
 その鈴の音を転がすような声は突然降っマカてきた。
 母がその声の主を振り返る。
「ステラ」
「ごめんなさい。わたしも少しだけお話したいことがあって…」
 申し訳なさそうに恐縮して、けれど姿勢良く落マカ と はち着いたそぶりでその少女は微笑んだ。
 長いハニーブロンドが彼女の動きに合わせて優雅になびき、美しい晴れた空のような青い瞳が瞳を潤ませて微笑んだ。白いブラウスのワンピースが揺れる。
「妹を、ミモザを助けてくださってありがとうございます」
 ぴょこん、と可愛らしくお辞儀をする。
「ああ、当然のことをしたまでだ。礼をdha epa言われるようなことではないよ」
 気を削がれたような表情でレオンハルトは応じる。それにステラは気づいていないのか会話を続けた。
「いえ、おかげで妹は大きな怪我をせずに済みました。ありがとうございます」
(怪我、してるんだけどなぁ……)
 ミモザはぽりぽりともうすでに血が固まりかけている傷口を掻く。まぁ、大きくないと言えば大きくはない。しかし自分で言うならまだしも、人に言われるともやもやとしてしまう。
 この姉に言われると特に、である。
マカ 傷一つなく美しいステラを見つめ、擦り傷と泥にまみれ髪もちりぢりになってしまったミモザは微妙な顔をした。
「怪我をする前に助けられなかったことをここは責める場面だよ、ええと…」
 言い淀むレオンハルトに、
「ステラ、と申します」
 にこりと微笑んで彼女は言う。
「では、ステラくん。俺はレオンハルト・ガードナーと言う。こちらはレーヴェ」 
 レオンハルトが差し出した手を握り2人は握手を交わした。
「あ、わたしの守護精霊はティアラというんです。猫科で翼があるなんて、わたし達おそろいですね」
 そう、何故かはわからないが、ステラとレオンハルトの守護精霊は非常に似た造形をしているのであった。マカ サプリ
 レオンハルトは翼の生えた黄金の獅子なのに対してステラは翼の生えた銀色の猫である。
 ティアラは紹介されたことが嬉しいのかなーん、と鳴いた。
(制作スタッフが猫好きだったのだろうか)
 なんにせよ、鼠であるチロにとってはどちらも天敵に違いない。
「そうか」
 ステラの台詞にレオンハルトは微笑ましげにふっ、と笑った。ステラの頬が桃色に染まる。その顔はまるで恋する乙女だ。
 それをミモザはげんなりとした表情で眺めた。
(ゲームにそんな描写あったっけ?)
 いや確かなかった、はずだ。ステラがレオンハルトに恋しているなどと。まぁ思い出せないことの多いミモザの記憶などそこまで頼りにはならないのだが。
「それでは俺はそろそろ」
 握っていた手を離し、レオンは言うと身を翻そうとした。
「……っ、あの!」
 その時、意を決したようにステラが声を上げた。そマカの横顔は何かを決意したかのように凛として美しかった。
「なんだい?」
「わたしにも!修行をつけていただけないでしょうか!」
(げ)
 あまりにも恐ろしい展開にミモザは青ざめる。
 時間だけがミモザのアドバンテージなのだ。それがほぼ同時に、しかも同じ師匠から教えを受けるなど才能にあふれるステラに対してミモザは敵う要素がない。
 しかしそんな事情はレオンハルトには知ったことではないだろう。彼がその申し出を受けることを止める権利はミモザにはない。
(どうしよう……)
 うろうろと視線を彷徨わせてそれは自然と自分の肩に腰掛けるチロへと着地した。
「チチ」
 その視線を受けるとチロは立ち上がり任せておけとばかりにサムズアップする。そのままおもむろに自分の背中から一際鋭い針を引き抜くと暗殺の準備は万端だぜ!と頷いてみせた。
「‥‥‥」
 ミモザは無言でそっとチロのことを両手でつつみポケットへとしまうとそのまま見なかったことにした。
 一方肝心のレオンハルトはというと決意みなぎるステラをみて亜鉛の効果ふむ、と頷くと「では、これを君にあげよう」と一枚の紙に何事かをさらさらと書き込んで渡した。
 それを不思議そうに受け取るとその中身を見てステラの表情が曇る。
 ミモザにはその紙の中身が手に取るようにわかった。
 筋トレのメニューだ。
 ミモザにも渡されたそれがステラにも渡されたのだ。
 ステラはその紙の内容とレオンハルトを困惑したように交互に見ると「あのー」と口を開いた。
「わたしは精霊騎士としての修行をつけていただきたいのですが」
「もちろんだとも。精霊騎士には体力も重要だ。申し訳ないが俺はそれなりに忙しい立場でね。だから常に付きっきりで見てあげるということは難しい。ある程度の自主トレーニングをこなしてもらう必要がある。そのメニューを毎日継続して行うといい。きっと君の力になるだろう」
 その言葉にステラの表情は明らかに曇った。
 瞳にはわずかに失望の影がある。
「わたしでは、レオンハルト様に直接ご指導いただくには値しないということでしょうか」
 しゅんと肩を落とす姿はいかにも儚げで人の罪悪感を煽る風情があった。
 レオンハルトはその様子にわずかに拍子抜けをするような顔を見せたがそれは一瞬のことで、瞬きをした次の瞬間にはそれはいかにもdha epa dha誠実そうな真面目な表情へと切り替わっていた。
「そういうことではない。なんと言えば誤解がなく伝わるかな。君自身の価値がどうこうではなく物理的に難しいと言っているんだよ」
「すみませんでした。おこがましいお願いをしてしまって。ご迷惑をおかけするわけにもいきませんから、わたしは大人しく身を引きます」
 深々と丁寧に頭を下げる。
 そのしおらしい姿にこれは「いやいやそうじゃないんだ。君は何も悪くはない」と慰める場面だな、とミモザは白けた顔で眺めた。
 姉はこういうのが本当にうまい。本当に天然なのか計算なのか知らないが、相手の同情や気遣いを引き出して自分の都合の良いように物事を進めようとするのだ。
 ポケットの中で殺させろといわんばかりに暴れ回るチロのことを抑えながら、つまらなそうに目を伏せたミモザに
「そうかい。なら残念だが俺が君にできることはないようだ」
 ばっさりと切り捨てるレオンハルトの声が響いた。
 思わず間抜けに口をぽかんと開けてレオンハルトの方を見る。
 ステラも予想外だったのか呆気に取られたような表情で彼を見つめていた。
 それににっこりと爽やかな笑みをレオンハルトは向ける。
 その笑顔は一点の曇りもなく美しく、まるで自分には一切の悪意も他意もありませんといわんばかりだ。
「君には君の進むべき道があるのだろう。いつか俺の元まで自力で辿り着くことを期待している」
 応援しているよ、といかに亜鉛 サプリ おすすめも善意100%の様子でステラの肩を力強く叩いてみせた。
(うわぁ)
 役者が違う。
 ミモザは舌を巻く。
 ステラのそれは無意識かもしれないがレオンハルトは明らかに意識的に無害を装って自身に都合の良い方向へと話を強引に軌道修正してしまった。
 たぶんステラの相手をするのが面倒くさくなったのだろう。
 そのまますぐに母のほうへと体ごと視線を向けると「では、先ほどのお話の通りにミモザくんのことはこれからは師として時々預からせてもらいますので」と話を戻した。
「本当に本日は弟が申し訳ありませんでした」
「そんな、いいのよ。レオンハルトさんのせいではないのだから。最初は強く責めるように言ってしまってごめんなさいね」
「いえ、また何かうちの弟やその他の子が問題を起こすようでしたらすぐに俺に連絡をください。しっかり対応をさせていただきますので」
 そう言ってきっちりと丁寧にお辞儀をしてみせる。母もお辞儀を返しつつどうか頭を上げてください。こちらのほうこそミモザをお願いします、と告げて話を締めくくった。
 結局ステラは驚いた表情のままレオンハルトが立ち去るまで再び口を開くことはなかった。
dha epa dhaポリ ペプチド亜鉛の効果亜鉛の効果

「ミモザ、マカ

「ミモザ、どうして亜鉛の効果こんなことをマカ サプリするの?」
 悲痛な表情でステラはそう叫んだ。視線の先には瓜二つの少女がいる。しかしその顔はステラとは違いどこか硬質で人を見下すような冷たい目をしていた。
 その瞳は、紅色に染まっているクロムの効能
「どうして?本当にわからないの?」
 彼女は呆れたように首を振った。
「何度も言ったのに!何度も何度も何度も何度も!お姉ちゃん!貴方はやり過ぎたの!!」
「やり過ぎたって、一体何をっ」
「僕が間違ってるって思ってるんでしょ、自分は正しいと思ってる!」
 ミモザは涙をはらはらと流しながら笑った。
「だから僕の言うことを無視するんでしょ?」
「無視なんてアントシアニンしてないわ、ミモザ!お願い!お姉ちゃんの話を聞いて!!」
 ミモザは首を振る。何度も、何度も。
「……もう遅いよ」
「ミモザ?」
「お姉ちゃん、あのね、……っ!?」
 そう言った瞬間、ミモザの口から血が溢れ出た。
「ミモザ!!」
「なん、で……?」
 その瞳は驚きと焦燥で満ちている。彼女が地面に倒れ伏すと鮮血は口からだけでなく、背中からも流れていることがわかった。
 背後から切り付けられたのだ。
 ステラ達は辺りを見渡したがどこにも人影はない。
「ああ」とミモザは絶望の吐ゴーヤ息を溢した。
「貴方も、僕を切り捨てるのですね、……様」
「ミモザ!?ミモザ!!」
 ステラが駆け寄り体を抱えるが、その体はもう熱を失い始め、意識は消えていた。
 ぱたり、とミモザの腕は地面へと落ちた。

 そこでミモザはガバッと布団から跳ね起きた。
「え、し、死んだっ!」
 いや、正確には死んでいないが。
 死んだのはゲームの中の『ミモザ』だ。
(思ったより意味深な死に方してたな)
 てっきりもっとこう、悪いことしやがってー、うりゃあ、サクッ、みたいなあっさりした死に方かと思っていた。
「っていうかもしかして黒幕みたいのがいる?」
 思わずチロに確認すると、チロも夢を共有していたのだろう、もっともらしく頷く。
「チチッ」
 殺意高めの相棒が、誰だか分かり次亜鉛 サプリ第殺してやろうぜ、と言ってくるのはいつものことなので今は横に置いておく。
(一体誰に『ミモザ』は殺されたのだろうか?)
 いつも肝心なところがわからない。しかしゲームのミモザは何者かに裏切られた様子だった。つまり、ミモザには仲間がいたのだ。
(何繋がりの仲間かはわからないけど)
 ゲームのミモザの行動を可能な限り思い起こしてみる。
 ミモザは嫌がらせキャラだ。そのミモザの仲間ということは、つまり主人公達の行動をよく思っていない人間が他にもいたということになる。
 しかしミモザの嫌がらせを思い起こしてみても、正直いまいちピンとこない。
 ミモザの嫌がらせは最初は学校の卒業試合でステラに敗北し、それに対して嫌味を言うところから始まる。そこから道中でステラ達に対し「そんなに野良精霊をたくさん狩るなんて酷い」とかいちゃもんをつけてステラから魔導石を奪ってみたり、試練の塔に着いた際に「そんなんじゃ中には入れられない」などポリ ペプチドと言って喧嘩をふっかけてきたりする。
 正直序盤の嫌がらせなど大した行為ではない。後半になるほど戦いを挑んでくる回数こそ増えるが、ミモザは雑魚キャラなので経験値稼ぎ要員として扱われていたように思う。
 うーん、とミモザは首を捻った。
「もしかして僕って重要人物だったり?」
 言ってみただけだ。
 チロはさぁ?というように首を傾げてみせた。
亜鉛の効果マカ

 その後は仕ゴーヤ

 その後は仕事の話になり、ミモザはレオンハルトとアズレンの亜鉛 の サプリ会話を聞くのアントシアニンみであった。話題にはやはり野良精霊の異常増殖と狂化の件がのぼったが、現在は小康状態であり以前の同時多発などは起きていないが継続はしていること、原因は相変わらず不明アントシアニンの効果であること、そして人為的に引き起こされていることは状況証拠的にほぼ確定であることがやり取りの中で明かされた。
 最後に「では期待しているぞ!我が国の最強の精霊騎士よ!!」というアズレンの激励を受けて挨拶は終わった。
 そうしてマッスル王子との面会をなんとか無事に終えたレオンハルトとミモザだったが、その2人の間には今、
「……えっと、お食マカ と は事でもお待ちしましょうか?」
「いやいい」
 微妙な空気が流れていた。
 原因は明白だ。
(好みのタイプ聞かれてとっさにレオン様の名前出しちゃったからなぁ)
 ミモザはぼんやりと斜め上方を見やる。シャンデリアが眩しい。
 レオンハルトの性格的に、あのような場であのような名前の出され方はきっと不愉快だったことだろう。王子の発言からするともしかしたらミモザがエスメラルダと話している間、彼は不機嫌な表情を浮かべていたのかも知れない。
(不機嫌な顔の何が面白いのかはわからないけど…)
 謝罪しなければ、と思いつつもどうにもタ亜鉛 の サプリイミングが掴めず気まずい沈黙が流れていた。いっそのこと一発殴ってくれたほうが謝りやすいまである。
「ええっと、」
「君は」
 そこでやっとレオンハルトは重い口を開いた。ミモザは開きかけた口を閉ざして彼を見上げる。レオンハルトはミモザのことは見ずに、手にしたグラスを眺めていた。
「先ほどの発言だが」
「す、すみませんでした!」
 思わず土下座する勢いで謝る。
「ええと、とっさに思い浮かんだ男性がですね!レオン様で!つい!」
「……そうか」
 恐る恐る見上げる。彼は非常に微妙そうな顔でこちらを見ると、はぁ、と一つため息をついた。
「君のことだから、そんなことだろうとは思ったよ」
「は、はぁ、えっと、次からは同じようなことを聞かれたら、えっと、別の誰かの名前を……」
「それはやめろ」
 強い口調に身をす亜鉛 の サプリくめる。ちらりと彼を見るとその目は据わっていた。
「それは、やめなさい」
「……はい」
「俺でいい」
 ふい、とまた顔ごと背けてレオンハルトはグラスを見つめる。
「そういう時に出す名は、俺でいい」
「……わかりました」
 本当はよくわかっていないがわかったふりをしておく。レオンハルトは「それでいい」と頷いたのできっとそれでいいのだろう。またしばらくの間が空き、どうしようかなぁとミモザがもぞもぞ身じろぎをし始めたあたりで、
「あー、君は」
 再び気まずそうにレオンハルトが口を開いた。
「はい?」
「ああいうのが好みなのか?」
「好み?」
 見つめ合う。先に目を逸らしたのはやはりレオンハルトだった。彼ははぁ、とため息を吐く。
「もういい。少し鷹を撃ちに行ってくる」
「鷹?」
「手洗いだ」
「あー……」
 レオンハルトからグラスを受け取りその後ろ姿を見送る。いつもよりその背筋が若干しょんぼりして見えるのはミモマカザの気のせいだろうか。ふと途中でレオンハルトは何かを思いついたように足を止め振り返ると「筋肉とか胸とかの餌をぶら下げられてもフラフラついて行くなよ」と念を押した。
「………はい」
 極めて遺憾である。

「ねぇ、あなた」
 レオンハルトがお手洗いに立って少しした頃に彼女は訪れた。
(僕のことを睨んでいた……)
 ピンクブロンドの髪に緑の瞳をした令嬢、アイリーンである。彼女はにっこりと笑顔でミモザに話しかけてきた。
「レオンハルト様からあなたを呼んでくるようにと言われたのだけれど、一緒に来ていただけるかしら?」
(嘘だな)
 とはすぐにわかったが、ここで平民のミモザが伯爵令嬢を無下に扱うわけにもいかないだろう。それに彼女の思惑も気になるところである。
「わかりました」
 ちょっとレオンハルトに言われた「フラフラついて行くなよ」が脳裏をよぎったが、別に餌をぶら下げられたわけじゃないからいいだろうとミモザは1人がてんして、彼女の誘いに応じることに決めた。
サプリメント マカポリ ペプチドポリ ペプチド

「難しいおdha epa

「難しいお話は終わアントシアニンの効果クロムの効能ったの?」
 その鈴の音を転がすような声は突然降ってきた。
 母がその声の主を振り返る。
「ステラ」
「ごめんなさい。わたしも少しだけお話したいことがあって…」
 申し訳なさそうに恐縮して、けれど姿勢良く落ち着いたそぶりでその少女は微笑んゴーヤ チャンプルーだ。
 長いハニーブロンドが彼女の動きに合わせて優雅になびき、美しい晴れた空のような青い瞳が瞳を潤ませて微笑んだ。白いブラウスのワンピースが揺れる。
「妹を、ミモザを助けてくださってありがとうございます」
 ぴょこん、と可愛らしくお辞儀をする。
「ああ、当然のことをしたまでだ。礼を言われるようなことではないよ」
 気を削がれたような表情でレオンハルトは応じる。それにス亜鉛 サプリ おすすめテラは気づいていないのか会話を続けた。
「いえ、おかげで妹は大きな怪我をせずに済みました。ありがとうございます」
(怪我、してるんだけどなぁ……)
 ミモザはぽりぽりともうすでに血が固まりかけている傷口を掻く。まぁ、大きくないと言えば大きくはない。しかし自分で言うならまだしも、人に言われるともやもやとしてしまう。
 この姉に言われると特に、である。
 傷一つなく美しいステラを見つめ、擦り傷と泥にまみれ髪もちりぢりになってしまったミモザは微妙な顔をした。
「怪我をする前に助けられなかったことをここは責める場面だよ、ええと…」
 言い淀むレオンハルトに、
「ステラ、と申します」アントシアニン
 にこりと微笑んで彼女は言う。
「では、ステラくん。俺はレオンハルト・ガードナーと言う。こちらはレーヴェ」 
 レオンハルトが差し出した手を握り2人は握手を交わした。
「あ、わたしの守護精霊はティアラというんです。猫科で翼があるなんて、わたし達おそろいですね」
 そう、何故かはわからないが、ステラとレオンハルトの守護精霊は非常に似た造形をしているのであった。
 レオンハルトは翼の生えた黄金の獅子なのに対してステラは翼の生えた銀色の猫である。
 ティアラは紹介されたことが嬉しいのかなーん、と鳴いた。
(制作スタッフが猫好きだったのだろうか)
 なんにせよ、鼠であるチロにとってはどちらも天敵に違いない。
「そうか」
 ステラの台詞にレオンハルトは微笑ましげにふっ、と笑った。ステラの頬が桃亜鉛 サプリ おすすめ色に染まる。その顔はまるで恋する乙女だ。
 それをミモザはげんなりとした表情で眺めた。
(ゲームにそんな描写あったっけ?)
 いや確かなかった、はずだ。ステラがレオンハルトに恋しているなどと。まぁ思い出せないことの多いミモザの記憶などそこまで頼りにはならないのだが。
「それでは俺はそろそろ」
 握っていた手を離し、レオンは言うと身を翻そうとした。
「……っ、あの!」
 その時、意を決したようにステラが声を上げた。その横顔は何かを決意したかのように凛として美しかった。
「なんだい?」
「わたしにも!修行をつけていただけないでしょうか!」
(げ)
 あまりにも恐ろしい展開にミモザは青ざめる。
 時間だけがミモザのアドバンテージなのだ。それがほぼ同時に、しかも同じ師匠から教えを受けるなど才能にあふれるステラに対してミモザは敵う要素がない。
 しかしそんな事情はレオンハルトには知ったことではないだろう。彼がその申し出を受けることを止める権利はミモザにはない。
(どうしよう……)
 うろうろと視線を彷徨わせてそれは自然と自分のdha肩に腰掛けるチロへと着地した。
「チチ」
 その視線を受けるとチロは立ち上がり任せておけとばかりにサムズアップする。そのままおもむろに自分の背中から一際鋭い針を引き抜くと暗殺の準備は万端だぜ!と頷いてみせた。
「‥‥‥」
 ミモザは無言でそっとチロのことを両手でつつみポケットへとしまうとそのまま見なかったことにした。
 一方肝心のレオンハルトはというと決意みなぎるステラをみてふむ、と頷くと「では、これを君にあげよう」と一枚の紙に何事かをさらさらと書き込んで渡した。
 それを不思議そうに受け取るとその中身を見てステラの表情が曇る。
 ミモザにはその紙の中身が手に取るようにわかった。
 筋トレのメニューだ。
 ミモザにも渡されたそれがステラにも渡されたのだ。
 ステラはその紙の内容とレオンハルトを困惑したように交互に見ると「あのー」と口を開いた。
「わたしは精霊騎士としての修行をつけていただきたいのですが」
「もちろんだとも。精霊騎士には体力も重要だ。申し訳ないが俺はそれなりに忙しい立場でね。だから常に付きっきりで見てあげるということは難しい。ある程度の自主トレーニングをこなしてもらう必要がある。そのメニューを毎日継続して行うといい。きっと君の力になアントシアニンるだろう」
 その言葉にステラの表情は明らかに曇った。
 瞳にはわずかに失望の影がある。
「わたしでは、レオンハルト様に直接ご指導いただくには値しないということでしょうか」
 しゅんと肩を落とす姿はいかにも儚げで人の罪悪感を煽る風情があった。
 レオンハルトはその様子にわずかに拍子抜けをするような顔を見せたがそれは一瞬のことで、瞬きをした次の瞬間にはそれはいかにも誠実そうな真面目な表情へと切り替わっていた。
「そういうことではない。なんと言えば誤解がなく伝わるかな。君自身の価値がどうこうではなく物理的に難しいと言っているんだよ」
「すみませんでした。おこがましいお願いをしてしまって。ご迷惑をおかけするわけにもいきませんから、わたしは大人しく身を引きます」
 深々と丁寧に頭を下げる。
 そのしおらしい姿にこれは「いやいやそうじゃないんだ。君は何も悪くはない」と慰める場面だな、とミモザは白けた顔で眺めた。
 姉はこういうのが本当にうまい。本当に天然なのか計算なのか知らないが、相手の同情や気遣いを引き出して自分の都合の良いように物事を進めようとするのだ。
 ポケットの中で殺させろといわんばかりに暴れ回るチロのことを抑えながら、つまらなそうに目を伏せたミモザに
「そうかい。なら残念だが俺が君にできることはないようだ」
 ばっさりと切り捨てるレオンハルトの声が響アントシアニンの効果いた。
 思わず間抜けに口をぽかんと開けてレオンハルトの方を見る。
 ステラも予想外だったのか呆気に取られたような表情で彼を見つめていた。
 それににっこりと爽やかな笑みをレオンハルトは向ける。
 その笑顔は一点の曇りもなく美しく、まるで自分には一切の悪意も他意もありませんといわんばかりだ。
「君には君の進むべき道があるのだろう。いつか俺の元まで自力で辿り着くことを期待している」
 応援しているよ、といかにも善意100%の様子でステラの肩を力強く叩いてみせた。
(うわぁ)
 役者が違う。
 ミモザは舌を巻く。
 ステラのそれは無意識かもしれないがレオンハルトは明らかに意識的に無害を装って自身に都合の良い方向へと話を強引に軌道修正してしまった。
 たぶんステラの相手をするのが面倒くさくなったのだろう。
 そのまますぐに母のほうへと体ごと視線を向けると「では、先ほどのお話の通りにミモザくんのことはこれからは師として時々預からせてもらいますので」と話を戻した。
「本当に本日は弟が申し訳ありませんでした」
「そんな、いいのよ。レオンハルトさんのせいではないのだから。最初は強く責めるように言ってしまってごめんなさいね」
「いえ、また何かうちの弟やその他の子が問題を起こすようでしたらすぐに俺に連絡をください。しっかり対応をさせていただきますので」
 そう言ってきっちりと丁寧にお辞儀をしてみせる。母もお辞儀を返しつつどうか頭を上げてください。こちらのほうこそミモザをお願いします、と告げて話を締めくくった。
 結局ステラは驚いた表情のままレオンハルトが立ち去るまで再び口を開くことはゴーヤなかった。
クロム亜鉛 の サプリ亜鉛 サプリ おすすめ

「さて、それ亜鉛 の サプリ

「さて、それは困るのぅ」
 黙り込んだ面々の中、唯一ずっdha epa dhaと笑みを消さなかった老人が口アントシアニンの効果を開いた。ロランだ。彼は鈍色の目をギラギラと興奮に光らせていた。先ほどまでは老人らしく腰を曲げていたにも関わらず、今は真っ直ぐとその背すじを伸ばし、かくしゃくとした雰囲気を出している。
「教会からの使者ポリ ペプチドとしてお主らのような小娘と小僧が来た時は放っておけば誰か死ぬかと思ったが、思いの外やるようだ。それは困る、困るのぅ」
 身の丈を遥かに超えた長い槍を彼は構えた。
「まぁわしは誰が死んでしまってもかまわん。全員死んでもらってもなぁ」
「……っ!気をつけろ!そいつは保護研究会の過激派だ!!」
 マシューが叫ぶ。瞬間、雷鳴が轟いた。
「…亜鉛の効果…っ」
 ミモザはすぐさま防御形態でそれを防いだ。チロの半球状の盾をつたって落雷は地面へと流れる。
 雷はロランの槍の先から放たれていた。
「ジーン様!ジェーン様とええと、なんかそっちの緑の人の避難を!」
「緑の人じゃなくてマシューですけどね!?」
「マシューさん!こっちへ!」
 ごちゃごちゃと騒ぎながらも、ミモザは3人を背後へとかばって立ち、ジーンはマシューとジェーンを抱えるようにして後ろへと下がらせた。しかしこの塔の出口はロランの背後である。
 ロランはニヤリと笑うと懐から五角形の黒い金属板を印籠のように取り出して見せた。
「な亜鉛の効果んじゃ、気づかれておったか。ならば名乗ろう。わしは保護研究会、五角形のうちの一角、ロランじゃ。よろしくなぁ」
「……五角形」
 ミモザはつぶやく。ロランの持つ五角形の向かって左下には金色の印がつけられていた。確かステラの恋愛対象の中にもそう言った肩書を持った人間がいた気がするが、よく思い出せない。天才キャラだったような気もするが、どうだっただろうか。
「なんじゃ、気になるか?」
「……いえ、貴方みたいなのがあと4人もいるのかと思うとうんざりしただけです」
 ミモザは誤魔化す。ロランもさほど気になったわけではないのだろう。槍を構え直した。
「余裕ぶっておるが、内心では焦っておるのではないか?」
「なぜですか?」
 ふん、と馬鹿にしたように彼は笑う。
「先程から散々野良精霊からあいつらを庇っていたんゴーヤ チャンプルーだ。もう魔力も限界じゃろう」
「……さぁ、どうでしょう」
 魔力とはゲームでいうMPのことだ。通常のRPGよろしくこの世界でもMPが切れれば魔法は使えなくなる。魔法というのは先ほどロランがやってみせたように槍から雷を放ったり、ミモザが普段やっているようにメイスの棘を伸ばしたり衝撃波を放ったりというものだ。平均的なMPの量は150~200といったあたりだ。そしてゲームの中のミモザのMPは150が最大であったと記憶している。
 つまり平均の下の方である。
 ちなみにステラはすべてのイベントやアイテムを駆使すれば最高で400まで上がる。特に頑張らなくてもストーリーを進めるだけで300までは普通にいく仕様である。
 つまり、ミモザの2倍である。
(悲しい……)
 レオンハルトのMPなどは記憶にないが、どうせ化け物じみているに決まっている。
 これが才能の差か…、と遠い目になっているーー、場合ではない。
 また雷鳴dhaが轟く。今度は受け止めることはせず、ぎりぎりまで引きつけてから避けた。先ほどまでミモザが立っていた地面がえぐれ、クレーターのように穴が開く。
(当たれば最悪死ぬな)
 これ一発でMPをどれほど消費しているのだろうか。魔法によって消費MPは異なるが、これだけ威力があれば10ほどは消費していそうだ。だいたいの魔法の消費MPは5~10くらいのものが多い。稀に30~50ほど消費するものもあるが、それは小さな町を一つ滅ぼすとか、広大な土地に結界を張るとか、大概は道具と準備を必要とするような大規模の魔法だけだ。
 とはいえMPは減るばかりではなく時間経過で回復するものである。だいたい起きている時だと20~30分で1ほど回復するのが一般的である。つまりロランは先ほど休憩を挟みながらとはいえ、100匹近くの野良精霊を倒したミモザのMPがそろそろ切れることを見越して、ばかすか魔法を撃ってきているのだろう。ちなみにミモザは一回の攻撃で3~4匹ほどまとめて屠っていたりもしているので厳密にMPをどのくらい消費しているのかを計算で求めるのは至難の業である。
 もちろん、相手の最大MPや現在残っているMP量を知る方法は存在する。それは女dha epa神の祝福である。最初の塔の攻略により、その能力が手に入るのだ。とはいえ実は祝福には金・銀・銅のランクがあり、それぞれにより見える範囲に違いがある。金であれば相手のレベル、最大MP量、MP残量の全てを見ることができるが、銀ではレベルと最大MP量だけ、といった具合にだ。ちなみに銅だとレベルも大雑把にしかわからないらしい。らしいというのは塔の試練を受けていないミモザには詳細がわからないからだ。でもゲームでは確か最初に難易度の選択が可能で、イージーでは金、ノーマルでは銀、ハードでは銅に最初の試練の塔で与えられる祝福は設定される仕様であった。
 そしてゲームの中のミモザは銅であった。
 つまり自動的にハードモードのゲームが開始する予定である。今のところ。
(悲しい……)
 内心でぼやきながらも次々と襲いくる雷撃を避け続ける。そうしながらメイスをさりげなく地面へと叩きつけた。
「……ちっ」
 ロランが舌打ちをして横へと飛ぶ。メイスからの衝撃波が地面を走りロランの足元まで亀裂を生じさせたのだ。その体勢を崩した隙を逃さずミモザは棘を伸ばした。
 伸ばした棘がロランの目にささるーーと、思われた直前に彼は胴体をそらせてそれを避ける。棘は残念ながら、彼の目の下あたりを少し引っ掻くだけで終わった。
「小娘が……、狡い真似を」
 悔しそうな顔を作った後で、しかし彼ポリ ペプチドは再びニヤッと笑う。
「先ほどから攻撃が単調でみみっちいのう。お主、もしや属性攻撃が使えんのか?」
「はい」
 間髪入れずにミモザは頷いた。
 属性攻撃というのはロランのしたような雷など特徴的な攻撃のことである。これは大抵の人は1つは属性を持っているものであり、2つ以上あれば天才と呼ばれる部類のものだ。つまり属性攻撃を持たないというのは『落ちこぼれ』ということである。
 しかしミモザはそれがどうした、という顔をしてみせる。
(それがどうした!)
 ふん、と鼻息荒く胸を逸らして見せた。
「………うん、そうか、なんかすまんかったな」
 おそらく挑発しただけのつもりだったのだろう。なんか同情されてしまった。
 ちなみに名誉のために言っておくがこれは半分嘘で半分本当だ。
 元々ミモザは属性攻撃を持っていなかったが、狂化により一つだけ目覚めた。
 しかしそれはあまり強力なものではなかったのである。
「あ、ちょっと本気で悲しくなってきた」
「まぁ、世の中そういうこともあるわい。才能とは無慈悲なものじゃ」
「同情ついでに見逃しませんか」
 一応聞いてみた。
「それは無理じゃ」
 即答の上で更に雷撃を叩き込まれた。ミモザは避けた。
クロムの効能マカ亜鉛 サプリクロムの効能

 頭上ではきらゴーヤ チャンプルー

 頭上ではきらびやかなシャンデリアが揺れてポリ ペプチドいた。クリスタルと金細工でできたそれは、一つで平民の生涯年収を超えてしまいそ亜鉛 サプリ おすすめうな品だ。灯りを反射して周囲を華やかに彩るその下では、人々のいろいろな思惑が交錯していた。
 本日はこのアゼリア王国の第一王子の婚約お披露目パーティーである。ここは王城のホールで様々な階級の人間が招かれている。本来クロムならばこういった場に招かれるのは上流階級の人間だけだ。そして実際にそういった人間がほとんどではあったが、中には学者や王子が個人的に親しくしている人なら平民であっても招かれていた。
 これは第一王子の意向である。
 現国王は病床に伏して久しい。意思の疎通はできるものの、その病態から執務のほとんどは何年も前から第一王子が代行していた。もはや彼が王だと言われても誰も否定はしないだろう。
 その第一王子アズレン・ア亜鉛ルタイル・アゼリアは実力至上主義者である。
 その慧眼により能力のある者を次々と登用し、それにより国の発展と安定に寄与してきた。巷では賢君と名高い。そのため今回のパーティーもその意向が色濃く反映されているのだ。
 しかしそれだけでは外聞が悪い。平民の『えこひいき』は要らぬ反感を買ってしまう。古くからの貴族の機嫌を損ねるのはいただけないのだ。そのため上流階級とプラスして王子の気に入っている人々、という闇鍋のようなパーティーが開催される運びとなったのだった。

 さて、そんな闇鍋の中、目立っている2人の人物がいた。それは2人の伯爵令嬢であった。
 1人はアイリーン伯爵令嬢。美しいピマカ と はンクブロンドの巻き髪にエメラルドの瞳をした非常に愛らしい女性である。彼女は有数の商家を営む家柄で、その裕福さを示すように下品になりすぎない程度だがその髪飾りやネックレス、ドレスに使われる飾りまで、どれも上質な宝石で彩られていた。
 もう1人はセレーナ伯爵令嬢。艶やかな黒髪にキリリとした吊り目のオレンジの瞳をした麗人である。彼女は貴族の令嬢にも関わらず精霊騎士の称号を持つ才媛だ。シンプルながらも彼女のそのすらりとしたシルエットを優美に見せるドレスと控えめな宝飾品が美しかった。
 そんな2人はある一つのものを巡って対立していることで有名である。
 それはーー、
「ああら、アイリーン様、本日もとても可愛らしいドレスですこと」
 にっこりと微笑んで口火を切ったのはセレーナだ。
「ごきげんよう、セレーナ様。あなたもとてdha epa dhaも素敵なドレスだわ。あなたのスタイルによく似合ってらっしゃって」
 アイリーンも微笑みを返す。ただドレスを褒めるだけの会話だが、両者の間にははっきりと火花が散っていた。カーン、とどこかでゴングが鳴る音の幻聴がする。
「とてもお若く見える装いだわ。確か最近の流行のものだったかしら。パニエがしっかり膨らんでいるから対比で腰が細く見えていいわね」
 そういいながらセレーナは扇子で自らの腰の曲線をなぞって見せる。近くにいた人々は思わずそのラインを目で追った。
「ありがとうございます。セレーナ様はとてもシンプルで大人っぽい装いですわね。わたくしはそういうドレスは似合わなくって……」
 そういいながらアイリーンは腕を寄せて見せる。彼女の豊満な胸がむにっと押しつぶされて強調され、それまでセレーナの腰を見ていた人々の目がそちらに移った。
 あまり胸の豊満でないセレーナはじとりとした目をし、多少ぽっちゃり気味の体型のアイリーンはセレーナの腰付近を親の仇のように睨んだ。
「レオンハルゴーヤト様はきっとご自分と並んだ時に身長の釣り合いのとれる女性がお好きでしょうね?」
「ええー、騎士様はきっと可愛らしくて愛嬌のある女性がお好きだと思うわ。だってたくましい女性はご同僚にたくさんいらっしゃるはずでしょ?」
「仕事の内容に無理解な妻なんてお呼びではないはずだわ!」
「まるで騎士団に勤めたことがあるような口ぶりですのね!資格を取っただけで働いたことなんてないくせに!」
「何よ!」
「そっちこそ何よ!!」
 ああ、また始まった。周囲の人間はその光景を見てため息をつく。これはこの2人が同じ場所にそろった際に起きる恒例行事だ。
 彼女たちの対立の原因、それは聖騎士レオンハルトの妻の座に一体どちらがおさまるかという争いだった。
「誰があの2人を同時に招待したんだ?」と誰かが尋ねたが、誰も答えなかった。
 そんなの第一王子殿下に決まっていたからだ。
 その時、新たな来賓の到着を告げる管楽器の音がした。皆が無礼をせずに済むように一人一人到着ごとに音楽隊が鳴らしてくれるのだ。噂をすればとはこのことだろう。皆の注目の中、到着したその人物は渦中の聖騎士レオンハルトであった。
 反射で若い令嬢達が上げかけた黄色サプリメント マカい歓声は、しかし尻すぼみで終わった。かの人の隣に立つ人物を見たからだ。
 その美丈夫な男は今日は軍服ではなく黒い礼服を身にまとっていた。美しい藍色の髪をいつものように黒いビロードのリボンでまとめ、胸元には青い花を飾っている。その長身やよく鍛えられた体躯も相まって、相変わらず令嬢達がため息を溢すような色男っぷりであった。しかし問題はその隣に当たり前のように佇む少女である。
 少女である。それだけでも大問題だ。これまで一切の女っけがなく、お見合いも色仕掛けもするりとかわしていた男が女を伴って現れたのだ。
 さらに問題なのは、その少女が女神もかくやというほどの美しさだったことだ。
 綺麗に短く切り揃えられたハニーブロンドには天使の輪が光っていた。物憂げに伏せられた瞳は深海を思わせる深い青色で雪のような白い肌によく映えている。頬は薄く桃色に色づき、小さな唇もまるで果実のように艶やかだ。
 そしてその少女の格好がさらなる大問題だった。その髪にはラピスラズリの髪飾りがつけられ、ドレスはシンプルなものだが足元からまるで夜空のように深い藍色がグラデーションを描く美しいものだった。そしてその首元に光る黄色い宝石のついたリボン。そこには黄金の翼獅子が刺繍され、それはレオンハルトの髪を結えるものと全く同じだった。
 その全てが2人が深い仲であることを示していた。
 ふとレオンハルトがゴーヤ チャンプルー何か声をかけたのか、少女は扇状に覆われた長いまつ毛を震わせて伏せられていた瞳を上げた。途端に彼女の瞳に明るい感情が宿り、唇が笑みの形に緩む。
 その仲睦まじい様子に、思わずホールにいた招待客達は先ほど言い争っていた伯爵令嬢2人を見た。
 2人とも悪鬼の形相をしていた。
「ありゃ勝ち目がねぇわ」と誰かが余計なことを口にした。
 思いの外響いたその言葉に、2人は悪鬼のまま犯人を探さんと周囲を見回した。みんなは一斉に視線をそらし、見なかったふりをした。
dhaマカ と はマカ サプリ

「そんなこゴーヤ チャンプルー

「そんなことよりも問題は! わたくしの可愛い弟子がその被害に遭っていることマカ サプリ! そしてそアントシアニンの効果の魔薬の流出経路です!!」
 そのくだらないやり取りを引き裂くように、燦然と輝く銀の髪を振り乱し、フレイヤは手を腰に当ててずいっとオルタンシアに詰め寄った。
 豊かな胸がずずいっと目の前の視界を圧迫すマカ サプリる。
「う、うん、わかっていますよ、もちろん。フレイヤくん」
 その勢いと威圧と視線の向きによってはセクハラに当たらないかの心配で、額ににじんだ汗を拭き拭きオルタンシアは同意する。巷ではナイスミドルと評判の教皇も王国騎士団団長、否、怒れる美女にはかたなしだ。
「あー……、その流出経路についてだが」
 ガブリエルがそんな上司に助け舟を出すように口を挟んだ。
「フレイヤも知っていマカると思うが、おそらく近頃噂の『黒い密売人』が本命だな」
「黒い密売人」
 思わずオウム返しにミモザは真似をする。なんだか意味がありそうでなさそうな名称だ。
 そんなミモザには構わず、ガブリエルは資料を取り出して机の上へと並べた。見ると王都の地図に赤い印がついているものや人相書きなどがある。そこに描かれている特徴は黒いローブに身を包んだ背が高く黒髪長髪の男とあり、なるほど黒という要素がふんだんに盛り込まれていた。
「この男の目撃情報は主に夕刻から深夜、裏路地や街の郊外などの人気のない場所が多い。何回か接触を試みたがほぼすポリ ペプチドべて空振りでこれらの情報のほとんどは魔薬の購入者からの聴取によるものだ」
「接触できなかったのか?」
 訝しげなレオンハルトの問いにガブリエルは頷く。
「覆面警官による待ち伏せはすべて空振り。購入者の協力を得てその周辺で待機していてもその時に限って現れねぇ。囮捜査で若い女性警官をうろつかせてもまるで気配も現さねぇ。一応、一回だけ接触に成功したことはあったんだが……」
 そこでガブリエルはわずかに言い淀んだ。
「捜査員が独断専行で一人で行ったんだ。翌日、重症で発見された。もう少し発見が遅れていれば命はなかっただろう」
 ミモザは息を呑む。その捜査員の技量はわからないが素人ではないことは確かだ。それを相手取って重症を負わせるなど生半可な腕ではない。
「つまり、周dha囲で他の人間が見張っていると現れないということか」
「ああ、その通りだ。どうやって察知してるのかは知らねぇけどな」
 レオンハルトの言葉にガブリエルは頷いた。その表情は苦々しく悔しそうだ。
(もしかしたら重症を負った捜査員はガブリエル様と親しい仲だったのかも知れない)
 そう思わせるような態度だった。
「一応、わたくしも囮として過去に出没報告のあった場所に一人で立って見たんだけどね」
 フレイヤも険しい顔で言う。
「現れなかったわ。おそらくわたくしの顔を知っているんだと思う」
「用心深いことですね」
 オルタンシアは嘆息する。
 つまりその黒い密売人は見張りがいると現れず、見張りがいなくても騎士団の者だとわかる場合は現れないということだ。
「あと、情報としてはその被害にあった捜査員が言うには異常に自身の強さを誇示していたらしい」
「はぁ?」
 ガブリエルの提供した情報にフレイヤは不ゴーヤ愉快げに声を上げた。
「散々逃げ回っておいて何よそれ。それならわたくしの前に姿を見せなさいよ!」
「どうどう、俺にキレたって仕方ねぇだろ」
 フレイヤの怒りに反応してか守護精霊のクワガタも威嚇してツノをガチガチと鳴らす。今にもガブリエルの首を絞めあげそうな勢いだ。彼はとんだとばっちりである。
「どうしましょうか」
 それを無視してレオンハルトはオルタンシアに問いかけた。
「そうですねぇ」
 思案するように彼は視線を動かし、ミモザに目をとめた。それは一見偶然ミモザを見たとも思える動きだったが、どうにも演技のようにも見える仕草でもあった。
 彼はにこりと穏やかに笑う。
「ミモザくん、君にお願いできますか?」
「……僕ですか?」
「オルタンシア様、それは……っ」
 否定しようとするレオンハルトを手で制し、彼は「彼女が適任です」と静かに告げる。
「ここまでの情報で、ミモザくんの双子のステラくんとやらが顧客なのは明らかです。そして今ここには彼女にそっくりなミモザくんがいる」
 オルタンシアの肩におそらく彼の守護精霊であろう鮮やかクロムの効能な青色のイグアナがのそのそと姿を現した。彼は主人にそっくりなそのすみれ色の瞳でミモザをゆったりと見つめた。
「きっと黒い密売人はミモザくんのことをいつもの常連と間違えて姿を現すことでしょう」
「……っ、危険すぎます」
「彼女は君の弟子でしょう。弟子の技量を信じられないのですか?」
「それは……っ」
 どこまでも冷静な瞳にレオンハルトはそれ以上なにも言えずに押し黙った。それにオルタンシアは満足そうに頷くと、ミモザのことを再度見つめた。
「ミモザくん、引き受けていただけますか?」
 それは疑問の形を取ってはいるが、レオンハルトが反論を諦めた時点で確定事項のようなものだ。
「わかりました。お引き受けいたします」
 ミモザにはそれ以外の返事は許されなかった。

「ミモザ」
 教会からの帰路で、レオンハルトは雑貨屋によると何かを購入した。筒状で下から紐の飛び出したそれをミモザへと寄越す。
「なんですか? これ」
「信号弾だ」 
 首を傾げるミモザにレオンハルトは静かに告げる。
「いいか、ミモザ。取り逃がしてもいい、致命的になる前にすぐにこれを使いなさい。そうしたら俺は必ず駆けつける」
 ミモザはレオンハルトの顔と信号弾を交互に何度か見た末、それをありがたく受け取った。
「これがあれば百人力ですね」
 わざアントシアニンと茶化すようにそう言うと、彼は少しむっと眉を寄せた後、諦めたように笑った。
「油断するなよ」
「はい!」
 ミモザは信号弾を両手で優しくぎゅっと握る。
 この事件はミモザ個人としてもなんとかして収めなければならなかった。
 無論、ステラに味方する人物をなるべく増やさないためである。
クロムマカ と はマカ サプリ